民主党の小沢氏が在日米軍削減をぶち上げた。これに対して自民党から批判が噴出しているが、独立主権国家にこれだけ大量の外国軍隊が駐留するのはやはり異常なことで削減するというのは別に軍事的知識がないとかそんな非難をするには当らないと思う。

日本の防衛をどうするかは国民の選択だろうが、米軍が駐留しているのは第一義的に自国の利益のためであって日本のためではない。ただ米軍が駐留していることで他国が手を出すのを躊躇うという副次的な効果はあるだろう。

日本が米国と手を組んで今のように安全保障を行うのか、米国との緊密な関係を維持しながら日本は日本で主体的な道を歩むのか、敵が来たら諸手を挙げて国を敵に差し出すのか、それは国民の選択だろうし、どれが良いとか悪いとかそんなことは言えないだろう。

しかし、日本の自衛隊は海軍力では世界のベスト5、空軍力でも世界のベスト10に入るくらいの実力を持っている。その日本が自国の安全を主体的に選択出来ないのなら世界中のほとんどの国が自国の安全など守ることが出来ないだろう。世界に君臨して世界を席巻するような軍事力を持つ必要はないし、今の日本にはそんな実力もないだろう。

それでも日本を侵略しようとする意図を排除する程度の軍事力を持つことはさほど難しいことではないだろうし、コスト的にも可能だろう。現状でも日本に対して武力侵攻を企てる実力があるのは世界中を見渡しても米国くらいだろう。

政治も経済も、そして安全保障も米国頼みというのは成熟した主権国家として少し情けないのではないか。もう少し日本の独自の外交というものがあっても良いように思うし、そうでなければ国連常任理事国に立候補するなど少しばかりおこがましいのではないだろうか。

日本には軍事アレルギーがあって軍事力を保持すること自体が悪という考え方が主流だが、今の国際情勢では軍事力なしにはまともな外交は出来はしない。悪いのは軍事力を保持することではなくその力を間違った方向に使用することだ。

平和憲法も良いことだが、そのために国家の行くべき方向が歪められてしまっては本末転倒だろう。ソマリア沖に護衛艦を派遣しても他国の船舶が海賊に襲われても助けにも行けないというのでは本当にそれで国際社会に認められる活動が出来るのだろうか。

平和を維持していくにはどのような方法であろうとそれなりに覚悟が必要だ。ただ耳ざわりの良いことばかり唱えていても平和は維持出来ないだろうし、国際社会でも認められないだろう。日本は現在は自由主義諸国の一員として国の存続を図っているし、それはそれで妥当な考え方だろう。そしてその国家群の中で日本が成熟した独立主権国家として国際社会に認められるようになるためには現実的な覚悟が必要だろう。

小沢氏は自衛隊の海外派遣について国連主導主義などと言っているがこれは政治、選挙対策で実際にはそんなことは考えてもいないのだろう。国連は日本人が思いを抱いているような平和主義の機関ではなく国家間の利益がぶつかり合って渦巻くどろどろした世界だ。そんなところで決まったことにばかり従っていてはただ振り回されて疲弊するだけだろう。

国家の安全保障をどうするのか、その辺りはもう少し真剣に議論されるべきだろうし、独立主権国家を標榜するのならもう少し自主的な判断があってしかるべきだろうと思うが、嫌なものは目を逸らして他人任せにする日本人には難しいかも知れない。ただ、日米関係というものは日本の外交の基本だとしてもそのあるべき姿について一度真剣に議論して考えるべきだろう。民主党の考え方には首を傾げざるを得ないところばかりが目立つし、政権が取れれば日本がどうなっても良いというような態度にはただ呆れるが、今回の日米同盟に対する一石は一考に価するだろう。

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