来週の東京株式市場では、悪材料目白押しで引き続き上値の重い展開となりそうだ。米シティグループの再建策を巡り金融問題は新たな局面に入っている。この先金融システム不安が再燃するようであれば、投資家はリスク回避の姿勢を強めるだろう。実体経済の悪化を裏付ける経済統計も続くと予想され、株式への投資マインドの低下は避けられそうもない。一方で持続的な株高を期待するような材料は出にくく、日経平均は10月28日安値6994円に対する二番底を探る可能性もある。

来週の日経平均株価の予想レンジは、7400円─8500円ほどか。

世界的な不況の深刻化が日本株を圧迫している。21日の日経平均は買い戻し主導で上昇したが、「大幅下落後の短期的なリバウンドの域を出ず、楽観的なムードは感じられない」という。市場心理を揺るがしているのが、米国のシティグループとGMの経営問題だ。「シティやGMの問題は雇用に発展する懸念がある。今後のドル売りを誘う要因であり、輸出株中心の日本株は手がけにくくなる」という見方がある。

米自動車会社大手の救済策については、議会での審議が進まず、民主党指導部が自動車メーカーに対し、12月2日までに経営計画を提出するよう求めたことで問題は事実上先送りされたが、救済策の実現に向けた道のりは平坦ではない。現状でも米国の自動車販売には下振れリスクが残る。仮にGMが経営破たんすれば、雇用面だけでなく金融機関の不良債権増加にもつながる。米経済にとって非常に大きなリスク要因だろうし、日本への影響は避けられないだろう。

また、シティグループが部門や資産売却のほか、株式売却や他社との合併など複数の選択肢を検討していることが明らかになったが、抜本的な解決策が実現するかどうかは不透明だ。シティは先にストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)を本体に取り入れることを発表したが、「これによりどれだけの自己資本を毀損するのかも不明。信用収縮から貸し渋りが起これば実体経済にも悪影響を及ぼしかねない」との懸念もある。

国内外でも実体経済の悪化を示す経済統計が相次いで出されている。当面のスケジュールでは、24日の米10月中古住宅販売、25日の米9月S&Pケースシラー住宅価格指数、26日の米10月耐久財受注などが注目されている。国内では28日に10月鉱工業生産速報の発表がある。鉱工業生産については大幅な落ち込みも予想されるが、まだ相場に織り込み切ったとは言えないので内容次第では株価の上値を抑えそうだ。

先進国は戦後最大の景気悪化局面を迎えていると言われる。市場は米国の財政出動に期待しているが、政権の端境(はざかい)期で目先の好材料は期待しにくい。米国株の下落が続けば、日経平均も10月安値6994円に対する二番底を探る可能性もある。もっとも、需給面では海外ファンド勢の売り、公的年金買いという構図が鮮明になっている。7500円前後では公的年金の買い需要が強く、現状では7000円を大きく割り込むとの見方は少ない。

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