来週の東京株式市場では、引き続き株価の動きは安定しないものの、国内企業決算や米国の経済指標などの結果を睨みながらみながら値固めに入っていくだろう。当面は株価を9000円辺りを挟んだ動きになって行くだろう。各国政府の協調利下げ姿勢や金融安定化策などの対応を受けて、株式市場はやや安定した状況になっているようだが、国内外の企業業績や景気減速などの経済環境悪化への懸念から、まだ積極的に買い進む状況ではないようだ。その辺りを考慮して、

来週の日経平均株価の予想レンジは、8600円─9500円程度

だろうか。

株価は27日にバブル後安値(7603円)を割り込み、1982年10月以来の安値水準となった後、28日には7000円割れを記録したが、その後は空売り規制強化や景気対策の取りまとめが加速するなど株安に歯止めをかけようという政府の姿勢が鮮明に打ち出されたことを受け、日経平均は3日間で2000円戻した。 

金融問題への対応は概ね出揃いつつあり、市場で一定の評価を得ている半面、経済環境悪化に対応する景気対策は遅れ気味で日本政府は30日、財政支出を伴う国費が5兆円程度、事業規模26.9兆円程度の追加経済対策を発表したが、国内よりも景気に対する市場の関心は国内よりも米国にあるが、米大統領選挙後でないと景気対策の全体像が見えてこない。米国のファンダメンタルズについては選挙後の状態が当面続くことから、株価もまだ波乱含みだとの見方がある。 

来週、株式市場で鍵となるのは、国内企業決算と米国など経済指標によるファンダメンタルズだが、10月の企業景況感の一段の悪化が懸念されている。国内企業業績は発表のピークを越えたが、引き続き主力銘柄の決算を受けた市場の反応に注目が集まる。 

為替では、ユーロの急落をきっかけに始まった円の独歩高は、一応落ち着きを取り戻している。輸出依存度の高い国内企業にとって、想定外の円高は業績を直撃するため、国内株式市場は為替動向に敏感に反応するが、この先は日米金利差の縮小期待から、さらに円高が進むことはないとの見方が大勢のようだ。しかし、為替安定のためには、来週4日の豪中銀理事会および、6日の英中銀金融政策委員会と欧州中銀(ECB)理事会で協調利下げが行われることが前提条件とする考えもある。利下げ自体は市場にとってニュートラルだが、各国の協調利下げ姿勢は、絶対条件というものだ。 

4日には米大統領選が行われる。各種世論調査では民主党のオバマ候補の優位が伝えられており、市場関係者も概ね好意的にみているようだ。世論調査通りとなっても、材料としてはニュートラルとの見方が大勢である一方、足元の景気悪化局面では、伝統的にリベラルで大きな政府志向の民主党候補が大統領となることは、経済対策が期待できるので、中長期的にみて株式にとってはプラスとの声もあがっている。

国内株式はこの1カ月間、ヘッジファンドや投信など海外投資家による換金売りが加速する一方、国内機関投資家など実需筋の様子見で買い手不在のなか、需給の悪化が著しかったが、決算時期のため、ヘッジファンドの解約売りは11月に入っても続きそうだという観測もあり、ファンダメンタルズや株価のテクニカルとは無関係に株が売られる可能性はまだ残っている。

半面、ネット証券を中心に個人投資家の口座開設や口座再稼動の急増がみられるなど、余裕のある長期スタンスの個人投資家の一部に動きが出ているようだ。また、今週は公的年金の買いが観測されるなど下値を買う国内機関投資家が出始めたとの見方がある。そんな状況から需給は徐々にではあるが、改善の方向に向かうという期待も少なくない。

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