来週の東京株式市場は米国金融システム不安が強まるなか資産を現金化させてきた海外投資家の動きも一巡し市場は様子見気分が強くなっているので動きが鈍くにらみ合いが続くのだろう。取引は短期の利益目的に限定されそうで上値で実需筋から新規の買いが入るまでには時間がかかりそうだという。

来週の日経平均株価の予想レンジは、1万1500円~1万2200円程度か。

米リーマン・ブラザーズの経営破たん後、ヘッジファンドは資金の調達難とこれまでとは異なる新たなビジネスの形態を探って資産の現金化を進め、「ファンド勢の現金化の動きは1週間程度で一巡した。今はキャッシュを抱えて様子見している状態」だという。そのためか、東証1部売買代金は25日が1兆7248億円、26日が2兆0180億円、ニューヨーク証券取引所の出来高概算も24日が10億株、25日が12億株と日米で薄商いの状況が続いているようだ。

来週にかけての焦点は米金融安定化法案が成立するかどうかだか、成立しても株価を大きく押し上げる要因にはならないと冷めた見方をする向きも多い。不良資産を米政府が買い取っても金融機関の資本不足という問題は残るためだ。市場では「米金融安定化法案が成立しても織り込み済みであり投資家は現金をマーケットに投資しないだろう。サプライズがあれば動く可能性はあるが、いずれにせよヘッジファンドが受けた傷が治るには時間がかかる」という見方もあるようだ。

一方、三菱UFJフィナンシャル・グループによる米モルガン・スタンレーへの出資や、野村ホールディングスの米リーマンのアジア部門買収などで、日本企業の相対的な健全性が海外勢からあらためて注目されているという。26日の日経平均株価は100円以上の下落となったが、メガバンク3行はそろって前日比プラスで引けた。東京株式市場が米国株式市場の写真相場だったこれまでとは違う様相もみせていると評価する声もあった。実際、現在の株式市場の平均株価は実際の企業業績評価よりも低めであり、長期に株式を保有するのであれば割安感があるだろう。その辺りから考えるとこのまま株価が下落を続けるとは考えにくいという見方もある。海外の資金が日本株に逃避先として入ってるのではとの期待感もあるのだろう。
 
それにしても日本が無事とも思えず、24日にリプラス、25日にジェネシス・テクノロジー、26日にシーズクリエイト、プロデュースと上場企業が毎日、民事再生手続き開始を申請しているような状況で、ビッグネームの倒産が出れば市場のムードは一気に冷え込むかも知れない。いずれにしても投資家心理としてはここはじっと環境を睨みながら我慢というところだろう。そんなわけで来週の株価はもみ合いで小刻みに上下を繰り返すだろうが、環境の悪化によってはドカ落ちもあるかも知れない。1万2千円ラインを巡る攻防に終始するだろう。

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