航空自衛隊は17日、弾道ミサイルを地上で迎撃する地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の初の発射試験を米軍ホワイトサンズ・ミサイル射場で行い、模擬弾の迎撃に成功した。PAC3は、海上配備型ミサイルSM3とともに日本のミサイル防衛(MD)の要で、試験を終えたことにより日本のMD整備は最終段階に入った。米国以外でPAC3を発射したのは日本が初めて。

試験は、空自飛行開発実験団司令をトップに、高射隊員ら約80人が参加して実施した。射場内に日本から搬送した発射機2基のほか、レーダーと管制装置などを展開。同日午前7時55分(日本時間同日午後10時55分)、約120キロ離れた地点から米軍が模擬弾を打ち上げ、空自は2分後にPAC3を発射。約30秒後に撃ち落とした。

航空自衛隊は米国でパトリオットPAC3による実射試験を行い目標の迎撃に成功した。先日の海上自衛隊によるスタンダードSM3による迎撃実験成功と併せて日本は名実共に弾道弾の迎撃能力を持つことになった。

しかし、こういう実射試験は成功しないと洒落にもならない。実際に一つの目標に何発のミサイルを撃ったのか、どのくらいの数の目標の迎撃に成功したのかは決して発表はしないだろうが、もしも失敗すればそれがたまたま偶然にミサイルの能力とは無関係に目標を外れたにしてもスタンダードSM3とパトリオットPAC3の組み合わせによる弾道弾迎撃システムは役にも立たない無用の長物と化してしまう。

兵器と言うのは相手に対する威嚇なのでいくら発射しても目標を外してしまう可能性があるミサイルでは脅しにも何もならない。だから開発中はともかく実戦配備になってからこんな実射試験は失敗はあり得ない。

それにしても数千億(あるいは兆の単位か)をかけて日本も米国に次いで世界で2番目の弾道弾迎撃能力を持つ国家となった。積極的に公表はしないだろうが、これは日本という戦力を保持しないはずの国が世界でも有数の軍事力を持つことの証明でもある。

ただし相当に高価なミサイルだろうからどのくらいの数量を配備しているのか、どの程度までのミサイル攻撃に対応可能なのかは決して発表はしないだろうが、軍事上の常識としてこれも当然のことか。限界が知れたらやはり相手に対して脅しにはならなくなってしまうだろうから。

しかし、軍事というのは果てしない競争で相手がこの程度の攻撃力を持てばそれを上回る軍事力を持つ、そうすればまた相手はそれを越える軍事力を持とうとする、その繰り返しで何時までも際限がない。おそらく人間の歴史が続く限り武力を保持しようとする人間の意思が絶えることはないのだろうが、ほどほどにして地球環境の正常化にでも金を回した方が将来の人類のためかも知れない。

人間の本当の敵は外にあるのではなく決して満足することのない際限のない欲望を抱えて生きている内なる自分自身なのかも知れない。

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