今月7日に発表した08年4-6期連結決算では、売上高が前年同期比4.7%減の6兆2051億円、営業利益が同38.9%減の4125億円と、05年の四半期決算開示以来初の減収減益に陥ったトヨタ自動車。超優良企業と呼ばれる同社だけに減収減益は各メディアで大きく報道されたが、収益圧迫の理由は主に為替相場の円高と原材料高によるものだった。

一方でガソリン価格の高騰が今や同社のシンボル的存在に成長したハイブリッドカー「プリウス」の販売を加速させている。現行モデルは03年の発売以来常に新車販売台数ランキングの常連だが、現在でも国内の販売店では納車が2ヵ月待ちの状態。発売して間もないモデルならともかく、そろそろフルモデルチェンジを迎えようとする車種ではある意味異常ともいえる人気ぶりだ。人気は国内にとどまらず、08年4月には全世界での販売台数が100万台突破し、その勢いは止まりそうない。

注目すべきはハイブリッドカーの中でもプリウスだけが一人勝ちしているという事実だ。原油高によりハイブリッドカーに注目が集まっているのは理解できるが、ハイブリッドカーはプリウスの他にホンダから「シビックハイブリッド」など3車種、ニッサンからも「ティーノ ハイブリッド」、米国でもGM(ゼネラルモーターズ)やフォードが製造・販売している。しかしホンダの「アコードハイブリッド」は07年に販売不振から生産中止、フォードも販売不振のためハイブリッド車の生産の打ち切りを検討していると報道されている。なぜプリウスだけが求められるのだろうか。

米国の経済誌フォーブスはプリウス一人勝ちの理由について「成功した一番の理由は、そのデザイン。他の多くのハイブリッドカーは既存の車種にハイブリッドシステムを採用しているだけだが、プリウスはメッセージがある」と分析している。同車は2003年度グッドデザイン大賞を受賞しているが、誰が見てもひと目でハイブリッドカーだとわかるその先進的なデザインが消費者を惹きつけているのだろうか。

プリウスだけが何故売れているか、それはイメージだろう。専用の車体にハイブリッドシステムを搭載し、知的なイメージとともに地球環境に優しい車であることを強調していることが受けているのだろう。

他車が同様のシステムを搭載しながら量販車種の一型式として販売しているのにプリウスだけは初代から専用モデルとして販売し、単に経済性というだけではなく地球環境という公共性にも配意しているというイメージを高めている。

初代も2代目も車のデザインとしては特に優れているとも思えないが、空力を考慮した特異なデザインは確かに目立つ存在だ。高速道路でも際立って穏やかな走りが目に着く車であまりムキになって飛ばしているプリウスというのを見たことがない。ややお邪魔なほどに燃費走行を堅持しているドライバーは良く見かけるが。

しかしここまで環境が激変してくると車に乗ることさえ控えなくてはいけないという状況が差し迫っているのだが、やはり自分のことだけでなく公共性に配意しているんだと言うイメージが大きいのかも知れない。

月に1,000キロ程度を走るとしてリッター当り30キロでガソリン消費量は約33リッター、僕の車がリッター13キロ程度の燃費なので同様の距離を走るとしてガソリン消費量は約77リッター、これはずいぶん違うものだ。それでも最近は僕の車もリッター当り14.4キロ(カタログ値は14.8キロ)を記録するなどかなり頑張ってはいるのだが。

減収・減益も織り込み済み、強かな戦略で売り上げを確保するトヨタで株主には心強い限りだが、願わくばプリウスよりももう一回り小型のハイブリッド車を世に出して欲しいところだが・・・。1リッター・ハイブリッドでリッター60キロ程度なんて良いじゃないか。あれでもやや持て余し気味に大きい気がするので。

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