今の中期防では、平成21年度までに日本の次期主力戦闘機・FXとして、新しい戦闘機の取得契約を結ぶ方針が盛り込まれており、防衛省は、アメリカの最新鋭戦闘機、F22を最有力候補として検討を進めてきた。
しかし、アメリカが「高度な軍事技術の流出になる」として、F22の輸出禁止措置を続けていることから、防衛省は、中期防を見直して来年度までの導入を断念し、代わりに今の主力戦闘機であるF15の能力を高める改修作業を大がかりに行うことになった。
防衛省は、今後も防衛力を維持するには、F15、およそ80機の改修が必要だとしており、来年度予算の概算要求におよそ50機分の改修費、1200億円程度を盛り込むことにしている。
遂に航空自衛隊もFA-22の早期導入を断念して現在の主力戦闘機であるF-15の能力向上を目指すことに方針転換したようだ。
確かにFA-22は革新的な戦闘機だろうが、目に見えるような危機がない今、特に高価なFA-22を導入しなくても現有装備の質的な向上を目指すのも一つの方法だろう。特に危機がないとは言っても火種はあちこちにあるのだろうが、今の状態で面と向って日本に武力行使を企てる国家もないだろう。
F-2は炭素複合材による一体形成主翼の強度不足という問題を抱え込み、小型で発展の余地がないという事情もあって、結局、F-4を代替することが出来なかった。そのため当面は現有主力で機体も大型のF-15の能力向上で凌ごうということだろう。
F-2も対艦ミサイル4発携行で航続距離450海里などという時代錯誤の特殊任務の呪縛から解放すればF-16やF-18C/Dなどの第3世代戦闘機を圧倒する機動性を有しているというのだから、FCSさえ改良すれば当面の役には立つだろうが。
そうして現有装備の改良で当面の状況を凌ぎながらATD-Xの研究開発など国産技術の向上を図り、国産も視野に入れた次期主力戦闘機制定を考え直せば良いだろう。
戦闘機260機という上限があり、改良型F-15、100機、F-2、94機の他に、F-4の更新分を含めて60機程度の次期主力戦闘機を導入、その後、F-15の代替分もこれで賄おうという心算だったのだろうが、米国の固いガードで方針変更せざるを得なくなった。これが吉と出るか凶と出るかはこの先しばらく経過を見ないと分からないだろう。
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