来週の東京株式市場は強含みの展開となりそうだ。4─6月期の国内企業決算が一巡し、目先の悪材料は出尽くしの状況となっている。旧盆休みやオリンピック開幕の影響などで売買高は膨らまないものの、米国株や為替市場に大きな波乱がなければ、いったんテクニカル的な戻りを試すことになりそうだ。もっとも内外の景気減速が鮮明になり、積極的に買い上がれる環境でもない。1万3500円に接近する場面では戻り売りが上値を圧迫すると予想される。

来週の日経平均株価.N225の予想レンジは、1万2900円─1万3500円。

国内企業の4―6月期決算発表は、8日のトヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)で主力どころが一巡した。コスト増や需要鈍化により厳しい内容になることは事前に予想されていたが、足元が好業績でも事前予想を下回るケースや通期予想が期待はずれとなったケースでは、極端な売りを浴びせられるなど個別銘柄で波乱の多い四半期決算となった。

8月第2週(11日―15日)は、強含みの相場展開が予想される。決算発表の一巡やオプションSQの通過により、株式市場のかく乱要因が少なくなる。「1万3000円を下回ると国内年金とみられる買いが入り、下値は固まりつつある。薄商いのなかテクニカルリバウンドは期待できそうだ」という。

原油などの国際商品市況が下落したことで、世界的なインフレ懸念は後退してきた。米国の景況感は悪化しているものの、新興国経済の景気失速が回避されるという雰囲気が醸成されれば、足元の円安メリットもあり、輸出関連株に見直し買いが入る可能性もある。「海外勢からみれば円安は必ずしもメリットではないが、市場が落ち着けば個人投資家の動きにも期待できる。1万3500円の節目を意識した展開はあり得る」との声が聞かれる。

スケジュール面では、13日に4─6月期の実質国内総生産(GDP)が発表される。ロイターの聞き取り調査では、最大項目である消費とこれまで日本の景気拡大を支えてきた外需の寄与度がともにマイナスに転じる可能性が高く、前期比年率マイナス2.3%が予想されている。マイナスになれば1年ぶりだが、「6月景気動向指数などで景況感の悪化は織り込み済み」であり、大きなネガティブサプライズにはならないとみられている。

米国では13日に7月小売売上高、14日に7月消費者物価が発表される。低迷が続く米国の個人消費は米国株への影響も予想されるだけに注目される。また、12日は米証券取引委員会(SEC)による金融株19銘柄を対象にした緊急空売り規制の実施最終日にあたる。

直近ではAIG(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)の四半期決算が大幅赤字となるなど信用危機が去ったわけではない。規制解除後に空売りが活発化するようなことがあれば、米国発の日本株波乱があり得る。内外の景気減速が鮮明になり、積極的に買い上がれる環境でもない。市場関係者の多くは日経平均の上値も限定的とみている。

要するに悪いことは分かっているのだからその中でどこまで買いが入るかということか。好材料としては原油価格が下落していることと為替が円安傾向だということか。

経済などは伸びる時があれば後退する時もあるので多少滑ったとしてもこれも止むを得ないことだろう。当面は1万3千円ラインをめぐる攻防になるだろうというのが予想だが、上手く動けば1万3千円をかなり超えて来ることもあり得るかもしれない。

それでも夏休みの薄商いの中で平均株価を1万3500円まで持ち上げるのは並大抵のことではないだろう。最近は上がるとその後の利益確定売りが相当に素早くなっているので高値を安定させるのは難しいだろう。

いずれにしても悪材料出尽くしとは言っても悪い時に大きく買いを入れるのはなかなか勇気の要ることだろうからその辺の投資家心理がどう動くかということだろう。

ところで原油価格は、

8日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、ドル高の進行と世界経済の減速懸念を受けて急落し、指標となる米国産標準油種(WTI)9月渡しは時間外取引で一時、1バレル=115ドルを割り込み、5月上旬以来3カ月ぶりの安値水準となる114・62ドルまで値下がりした。終値は前日比4・82ドル安の115・20ドルだった。

中国など新興国の需要過熱を背景に原油先物価格は7月11日に過去最高値の147ドルに達したが、その後下落傾向を続けている。米国発の金融危機に伴う世界経済の減速や、行きすぎた原油高が需要を冷やすという見方も強まっている。

この日は、カスピ海の石油輸出の拠点であるグルジア情勢の緊張にもかかわらず、外国為替市場でドルがユーロに対して5カ月半ぶりの高値となったことで、米国以外の市場参加者にとって割高感が増し、投機筋を中心に原油が買い控えられた。トルコで破壊された石油パイプラインの復旧作業が順調に進んでいることも下げ要因となった。

と大幅安となっているのは好材料だろう。それから為替も、

8日のニューヨーク外国為替市場は、日本や欧州の景気の先行き不安からドル高が進み、円相場は約7か月ぶりに1ドル=110円台まで下落した。

円相場は午後5時(日本時間9日午前6時)、前日比73銭円安・ドル高の1ドル=110円12~22銭で大方の取引を終えた。一時、1ドル=110円37銭まで下落する局面もあった。

と日本の景気後退が幸いしてドル高傾向が進んだ。経済も万事塞翁が馬ということだろうか。

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