日経平均で1万5000円も狙えるとの声も出ていた楽観ムードは消え去った。13日の日経平均は前日比85円高と指数上はしっかりしていたようにみえるが東証1部の値上がり銘柄数490銘柄に対し値下がり銘柄数は1152銘柄と倍以上。

一部の値がさ株が上昇したため指数はプラスだったが実質的には弱い相場だった。売買代金もSQ(特別清算指数)算出にともなう約1兆7000億円を除けば2兆3000億円程度と薄商い。「国内外ともに機関投資家は様子見。先行き不透明感が強く手を引いている」(欧州系証券)という。今週、日経平均は500円以上、下落した。

先行き不透明感の中心は世界的なスタグフレーション懸念だ。原油や穀物など国債商品価格の上昇が実体経済に悪影響を及ぼしている。インフレに悩む新興国だけでなく、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の傷をいやすために金融を緩めるだけ緩めていた米国など一部の中央銀行も金融引き締め方向に転換、ようやくインフレ退治に乗り出してきた。

BRICSはそろって金融引き締めしたほか、欧州は利上げを明言し、米国も年末までに0.75%利上げすると金利先物市場では予想されている。

三菱UFJ証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「景気拡大の中での金融引き締めなら、良い金利上昇ともいえるが、スタグフレーション懸念のなか各国中央銀行は金融引き締めによるインフレ退治を選択した。株価に良いわけがない」と警戒感を強める。

ゴールドマン・サックス証券は12日付リポートで、日本株は「相対的に安全な避難場所としての存在感を高めている」と指摘。日本ではインフレが歓迎されているほか、企業収益の予想修正モメンタムに底入れの気配が見られること、外国人の買いの拡大に加え、事業法人による自社株買いの継続が予想され、個人投資家も高配当利回り株投信に資金を移す可能性があることなどが背景だとした。

実際、総額11兆ドルの資産を運用する世界の1万8000のファンドの投資フローを追跡している米調査グループEPFRグローバルによると、前週以降、世界の株式市場から資金が流出している一方、日本株への投資フローは過去5週間、ネット流入になっている。財務省が12日発表した6月1日─7日の対内株式投資(指定報告機関ベース)でも3414億円の資本流入超となった。

しかしながら今週に入り海外勢の投資姿勢の変化を指摘する声も出てきている。「当社に限れば今週に入り海外勢は売り越しが続いている」(米系証券トレーディング責任者)。売りの要因はインフレ懸念だという。「インフレ懸念の強まりによる米金利上昇に伴い米株が変調してきている。日本株が相対的に優位だとしても投資家のリスク許容度の低下による売りをまぬがれるわけでない」(同)と話す。

リーマン・ブラザーズ(LEH.N: 株価, 企業情報, レポート)は9日、第2・四半期は約27億7000万ドルの赤字になる見通しと発表。米メリルリンチ(MER.N: 株価, 企業情報, レポート)の株価は11日、3月17日の安値を下回った。金融不安の芽が消えたわけではない。

来週は16日にリーマン・ブラザーズ、17日にはゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)、18日にはモルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)の決算発表が予定されている。

一部の地方の金融機関などまだ日本株を買えていない機関投資家もいるほか、年金など下値で一定の買いを入れてくると期待される投資家もいるものの、国内勢の買いだけでは一度下落し始めた株価を支えられないという構図は、これまで何度も繰り返されてきている。

海外のマクロ経済指標では、16日に5月中国鉱工業生産、6月NY州製造業業況指数、6月対米証券投資が予定されている。17日は5月米住宅着工件数、5月米卸売物価指数、第1・四半期米経常収支、5月米鉱工業生産と重要指標が並ぶ。19日は、5月米景気先行指数、6月米フィラデルフィア地区連銀業況指数が予定されている。国内では19日に発表予定の6月ロイター短観で7月1日発表の6月日銀短観を占うことになる。

強気というか楽観的というかとにかく株が上がるという予想はたったの一週間で消えて果てた。来週の予想は1万3千円台の後半から1万4千円台の前半という渋いものとなった。

どうもあがるとは言ってもこれといった好材料がないのだからそんなにころころと株価が上がるはずもないのだが予想も弾みをつける意味もあるのだろうか。

いずれにしても来週も押し合いへし合い株価が短いスパンで上下する傾向は変わらないだろう。そうするとまた短期での売り買いが殺到してさらに株価の上げ下げを加速するのだろう。株もなかなか風向きや潮目を見るのが大事なようだ。

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