三菱重工が正式にMRJの開発を決定した。YS11以来実に50年ぶりの国産旅客機開発だと言う。YS11は戦後初の国産旅客機だったがコストや航空会社へのアフターケアといった点で失敗して182機を生産したところで赤字が膨らんで生産中止となってしまった。

旅客機を開発して無事に飛んだらそれで満足だと言う日本人特有の淡白さで失敗した計画だった。今回のMRJは燃費など運用経費を考えた使い易い機体になると言う。

三菱が作るのだからそれなりのものは出来るだろうが旅客機商売となるとまだまだノウハウが足りない部分があるのかもしれない。

この70~100席程度の小型旅客機は今後5千機ほどの需要があるという。現在はカナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルが独占している市場だがここにロシアと中国が割り込んで行くようだ。

三菱のMRJは最後に完成する機体になりそうだが良いものを作って強かに売ることが出来ればきっと相当数が売れるだろう。その強かに商売が出来るかがこの計画の鍵になりそうだ。

この計画にはトヨタが資本参加することが決定している。トヨタは国策事業に協力するとなかなかきれいなことを言っているが、本音は炭素複合材による軽量構造のノウハウが欲しいのだろう。そして将来航空機事業へ参入する道を確保しておきたいのかも知れない。

いずれにしても各社が資本や技術を出し合ってこのような大きな事業を推進して行くことは良いことだと思う。裾野の極めて広い航空機産業だから成功すれば産業界にもそれなりの好影響があるだろう。

三菱は1千機程度の受注を期待しているようだ。底まで行けば大成功だろう。現在は全日空が25機(10機はオプション)の発注をしているだけだそうだが、日航も早く購入を決めてはずみをつけるべきだろう。

ベトナム航空や中東の航空会社も購入を検討しているようだが、100機程度の注文を確保すれば今後にかなり有利になるだろう。

これまで航空機はなかなか良いものを作ってはいるが、商売となると皆失敗しているので今度こそは粘り強く強かに商売を展開して是非成功させてもらいたい。その辺りはトヨタが一番ノウハウを持っているかも知れない。

機体

外観は円筒形の機体に後退翼、主翼下にエンジンを備えた一般的な小型ジェット旅客機と同じであるが、機首や主翼は空気抵抗を考慮した形状を採用している。また、このクラスの機体では初めて主翼・尾翼を炭素系複合材料で製作し、他社の機体より大幅に軽量化している。

燃費は機体形状の最適化や複合材の多用による軽量化によって、従来の機体より2割削減した。また国際民間航空機関 (ICAO) による最新の環境基準(チャプター4・CAEP6)を大幅に下回り、従来の機体より低騒音かつ環境にやさしい機体としている。航続距離はMRJ70/90LR型で、共に欧州や米国の全域をカバーできる能力を持つ。

機内は「新しい快適さ」というコンセプトのもと、モダンでスタイリッシュな客室空間を計画した。前方扉と後方扉を左右同一のステーションに配置し、翼上の非常脱出口を廃したことから、柔軟かつ多様な座席レイアウトを可能とした。キャビンはほとんどの米国人男性が収まる値の1.88mを考慮して高さ約2mとし、大抵の欧米人男性なら屈まずに室内を移動できるようにした。

通路幅・座席幅は共に46センチ、座席配列は横4列(通路を挟んで左右2列ずつ)で中央座席は無く、乗客は容易に移動することができる。座席は新開発のスリムシートで、日本独自の三次元立体編物技術を使用し、従来のウレタン製座席よりも薄くすることが可能であり、座席の前後の間隔に余裕を持たせ、従来より足元の空間を広々ととれる。また体にかかる圧力を分散させ、通気性にも優れており、乗客はゆったりと快適に座れるとしている。オーバーヘッド・ビン(荷だな)はローラー付バッグも収納できる大きさである。便所は車椅子の利用も可能である。

コックピットはボーイング787と同等のものの採用を検討しているが、エアバス機などと同じく、サイドスティック方式となる模様である。機体には日本の最新技術が結集しており、日本が得意とする複合材を始め、三次元編物のスリムシートは自動車技術を転用、機体の設計には国内開発のスーパーコンピュータを使用した。また、航空機開発は自動車以上に技術の裾野が広く、MRJから様々な産業への技術移転が期待されている。

エンジンにはP&Wの新型エンジンGTFを世界で初めて採用する。GTFはファンの駆動にギヤを介する構造で、従来型より相対的に大きいファンを用い、バイパス比を高めることが可能になる結果、燃費の向上が期待できる。P&Wでは、GTFは従来のエンジンより12%燃費が良いと説明している。

機体システムのパートナーは国内外から参加している。主要5社では、油圧システムに米国パーカー・エアロスペース社、電源・空調・補助動力(APU)・燃料タンク防爆・高揚力装置・防火の各システムに米国ハミルトン・サンドストランド社、電子機器及びフライト・コントロールシステムに米国ロックウェル・コリンズ社、フライトコントロール・アクチュエーションシステムに日本のナブテスコ株式会社、降着システムに住友精密工業が、それぞれ担当する。

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