飛んで来るミサイルをミサイルで迎撃するのは銃から発射された弾丸を別の銃で撃ち落すくらい難しいという。
確かにマッハ10とか15とかいう高速で飛んで来る弾道弾に同じくらいの速度で飛んで行くミサイルを直撃させるのは並大抵のことではないだろう。
実際この実験に成功したのは米国以外では世界初だというから海上自衛隊の能力も相当に高いのだろう。
自衛隊は各種ミサイルの発射試験ではしばしば極めて高い命中率を示して米国が「そのミサイルはそんなに命中するようには作られていない」と舌を巻くほど驚かせているそうだから今回の成功もさして驚くには当らないのかも知れない。
しかしこのミサイル防衛実験は失敗したら1兆円とも言われる巨額の費用が全く無駄になってしまうかもしれない重要なものなのでどんなことがあっても失敗するわけには行かなかっただろう。
大体この手の軍備は相手に対する威嚇のためのものなのだから失敗してしまったら恥をさらすだけでなく巨額の費用をかけた装備がまるきり無駄になってしまう。
どんなに巨額の費用をかけた先進装備でも目標に当らなければただの打ち上げ花火のようなものだ。怖くも何ともない。そんなものが抑止力などになろうはずもない。
そんな訳で今回の実験は絶対に失敗の許されないものだったので関係者もホッとしていることだろう。裏に何があったとしても。
ただしこうしたミサイルデフェンスが整備されたからと言って安心してはいけない。ミサイルがカバーできる範囲はさして広くない。首都圏のほんの一部に過ぎない。
仮に相手の国が数百発のミサイルで飽和攻撃をかけてきた場合はこちらのミサイルで撃墜出来る数には限りがある。装備しているミサイルの数はさして多くはないだろうし仮に多数のミサイルを装備していたとしても次発を装てんしている暇はないだろうから。
それにしても日本を取り巻く脅威は次々と変化し、日本がそれなりに何とか脅威に対応していけるようになったことは進歩と言えるだろう。
また急速に膨大な費用を注ぎ込んでこんな装備を配備するようになったと言うことはそれだけ周辺国の脅威の日本に与える影響がのっぴきならないほど差し迫ったものだったと言うことの証拠だろう。
緊縮予算とミサイル防衛の為に他の装備が圧縮されているきらいがあるが、紛いなりにも日本が自国に対する脅威を認めてそれに対応可能な実のある軍備を考えるようになったことの方が大きな進歩なのかも知れない。
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