今回、安部首相が辞意を表明して政局は一気に緊張の度を高めたが、見ていると安部内閣も滅び行く者の資格を十分過ぎるほど備えていたように思う。
見通しが甘い、それだから対応が遅れる、傷口がさらに広がる、対策が後手に回る、何ごともこの繰り返しだったように思う。そのために死なせなくとも良い人間まで死なせてしまったし国民の信用も失ってしまった。
もっと素早く対応していれば松岡氏の命も断ち切らずに済んだだろうし、あれほどまでに批判を受けることもなく自分の内閣もそれなりに安定しただろう。
為政者に求められるのは状況を正しく把握する観察力、状況に応じて素早く正しい対策を立案する判断力、そしてそれを力強く実行する行動力だろう。人柄や印象も大事なのだろうが、いざという時にそんなものは何の役にも立たない。
安部首相にはどの能力もかけていたように思う。最後の辞任の時期にしても選挙後か臨時国会終了後の結果を見るかどちらかだったろう。継続を選択したのならすべてをかけて先に進むべく力を尽くすべきだったのだろう。
与党が旧態依然なら野党にしても何でも反対の旧態依然から何も変わっていないのだし突くべき部分は幾らでもあるのだろうから。
首相としても政治家としても全く無能の烙印を押されて退かざるを得なかった安部総理だが、状況を変える機会がないわけではなかった。
もっと別の方法を取っていれば浮き上がることが出来たかも知れない。それを見逃して自滅したのはやはり滅び行く者だったのだろう。