先日も書いたが、ATD-Xなどを大々的に公表したのもアメリカに対してF22をリリースしろと言う航空自衛隊のあからさまな意思表示のようだ。しかしやはり技術の継承はATD-Xで繋いでおいて戦力はF22と言うのは堅実で賢明な選択だろう。
元々最初から数を決められている自衛隊では安いものを買って節約しようなどという殊勝な心がけは欠片もない。当然のことだが数が決まっているのなら一番高くて性能の良いものを買い入れようとするのが自衛隊のやり方だ。特に戦闘機などは他にこれといった選択肢のなかったF4の時はともかく、F16、F18など安価な戦闘機を選択出来る環境にあった前回もそんなものには目もくれずに最高級のF15を迷わずに買い入れたので単機の能力が傑出しているF22が存在する今回も間違いなく次期戦闘機はF22になるだろうことは明らかだった。
自衛隊のこのような傾向は陸も海も大方変わらない。陸上も旧式になった戦車の能力向上など目もくれずに新型を開発するし、海も自衛艦の隻数を決められているので大型の高価な艦ばかりを作りたがる。一度たかつき型の能力向上を試みたが、これも当時の大蔵省に改装は新造と同様と言う判断をされて2隻であっさりと切って捨てて護衛艦の新造に走ったが、まあこれも用兵側の戦力の維持向上という観点からは当然と言えば当然のことだろう。
しかし仮にアメリカが国内事情や中国に対する配慮からF22のリリースに応じなかった場合航空自衛隊はどうするか。ATD-Xを発展させた国産戦闘機を開発するのだろうか。その際、最もネックになるのがエンジンだろう。ATD-XのエンジンはXF5で推力は何とささやかな5トン級だ。
もしも実用戦闘機を作るとなるとF22の18トンはとても無理としても開発する機体の規模にもよるだろうが最低でも8トンから10トン、2基で合計16トンから20トンは欲しいだろう。これをおよそ10年間で機体に合わせて開発可能かどうかが成功への鍵になるだろう。
当面は機種選定の時期を遅らせてアメリカに譲歩を迫るのだろうが、最終的には条件付でアメリカもF22を日本へリリースするのではないだろうか。そうした場合、F15改が100機、F2が100機で戦闘機の定数が260機だからF22は60機、最終的にはF15改とF2の損耗を見込んで100機程度を購入するのだろうか。1機200億とか300億とか言うF22だから全部で2兆から3兆円の買い物になるのだろう。まさしく軍備は金食い虫だが今の世界情勢ではやむを得ないのだろう。