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航空自衛隊がF15近代化改装費用に32機分(約1132億円)を要求した。予算削減のため一括要求することが多くなった自衛隊だが今回のこの機数はちょっと異例かも知れない。今までは五月雨式にパラパラと予算要求して最後には予算不足で数が足りなくなるのが常だったのだから。

それから次期戦闘機用テクニカルデモンストレーター「心神」を五分の一の無人飛行模型を含めてテレビ公開した。機密情報は大っぴらに漏らす割には(元々機密を漏らしているという意識はなかったのだろうが)新規開発兵器には神経質だった自衛隊にしてはこれも珍しいことだ。

「レーダー反射エコーが中型の鳥以下昆虫以上」と開発官が胸を張って答えていたのもなかなか印象的だった。エンジンの推力方向を変える推力偏向パドルも実写で公開していた。超音速用アフターバーナー付きターボファンエンジンも開発済みなので約157億円が要求された予算さえ付けばテクニカルデモンストレーターの開発は成功するだろう。

そしてどうもこれらはF22の売却許可に向けたアメリカに対するデモンストレーションのような気がする。そちらに売る気がなければ同程度の性能を有したステルス戦闘機を自力開発することもやぶさかではないと言う日本の防衛当局の意思表示だろう。

まあ実際に開発を開始しても実機が出来上がって実戦配備が始まるまでには最低でも10年以上はかかるだろうからそれほど簡単なことでもないし、F4の後継という急場に間に合うほどのことでもないかも知れない。それでも当面はF15改とF2で繋いでおいてどうしてもというのならその間に新型の戦闘機を開発するぞという意欲は部内には結構あるのかも知れない。

特に三菱などの航空機開発企業にとっては喉から手が出るどころか喉から足でも何でも出そうなほど欲しい企画だろう。何しろユーロファイターでも何でも国産させてくれるなら手を組もうというのだから。

現実的にはテクニカルデモンストレーターで企業の技術力を維持しておいて戦力の本命はF22という選択が無難なところだろう。それでもなんだかんだ言ってそれなりに力をつけてきた日本の航空技術に一度くらい紐の付かない戦闘機開発をさせてみたいような気がするのは僕だけではないだろう。