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海上自衛隊最大の護衛艦が進水した。「ひゅうが」と命名されたそうだが、帝国海軍の戦艦(後に航空戦艦に改装)の名前を引き継いだわけだ。形が空母型だから「ひりゅう」「そうりゅう」「ずいかく」「しょうかく」等も考えられただろうが、あくまでも対潜戦指揮用護衛艦なのだから論議を呼びそうな空母を連想されるのを嫌ったのか戦艦の名前を引いたようだ。

排水量は基準で13,500トン、満載では2万トン近いといわれるのでかなりの大型艦だろうが、アメリカの原子力空母の五分の一にしかならない。この艦は形が空母に似ているのでいろいろと取りざたされているようだが、カタパルト(射出機)もスキージャンプ台も着艦拘束装置も装備されていないので今時点では固定翼機を運用する空母としての能力は全くないし、艦形も小型に過ぎる。

海上自衛隊では甲板にジェット排気の高熱に耐える塗料も塗布していないので垂直離着艦型ジェット機の運用は不可能と言っているようだが、そんなものはすぐに何とかなるだろう。また通常のジェット戦闘機は運用できないにしても甲板はMH53が離発艦出来る強度を持っているのだからハリヤーやF35程度の垂直離発艦型ジェット機の運用はその気になれば技術的にはすぐに出来るだろうが(改装には3から6ヶ月程度か)、搭載機数は10機程度だろうし、それを戦術的にどのように運用するかと言うことになるとこれはまた別の問題になる。

しかし満載で2万トンの排水量の全通甲板型艦船となると間近で見ればかなり大きい艦だろう。以前に輸送艦「おおすみ」を見たことがあるが、あまりの大きさにアメリカの強襲揚陸艦かと思ったくらいだから今度の「ひゅうが」も間近で見たらきっとびっくりするくらい大きいだろう。

自衛隊は岩のように堅く口を閉ざしているが、「ひゅうが」型2隻の後のDDHはきっと基準排水量で1万5千から1万6千トン、満載では間違いなく2万トンを越す大型艦の建造を計画しているだろう。そしてそう遠くない将来、これらの全通甲板型護衛艦にF35の垂直離着陸型戦闘機を搭載することも視野に入れてORを行っているだろう。

今の「ひゅうが」型にしても固定翼機の運用を全く考えずに回転翼機の運用だけを目的に建造されているとは考え難い。今後30年近く運用される艦なのだし、その間様々な情勢の変化もあるだろうからそうした発展性を考慮しないで建造しているとすればやはり日本人はかなりお目出度いかも知れない。ともあれ革新的な艦型の新型艦でしかも柔軟性の高い大型艦なので今後の運用には様々な方面から注目が集まるだろう。