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今年は62回目の終戦記念日というが、この時期になると戦争ものの特番が多くなる。当然非戦ものが多いのだが、あの当時の日本に戦争を避ける能力があったのだろうかと考えると首を傾げざるを得ない。

軍部が暴走を始めた時、日本に軍部を押さえる力を持った対抗勢力は国内にはあり得なかった。しかし愚かな戦争をしたものだ。ある海軍の軍人が油や資源が欲しければ金を出して買ってくれば良いと言ったそうだが全くそのとおりだ。

しかし何かと言えばすぐに軍部独裁と軍に責任を転嫁するように言うが、国民と全く乖離した軍部という組織があったのではなく当時の国民に支持された陸海軍があり、それが暴走したのであって、いかに軍部と言っても国民の支援なしには何も成し得ないだろう。


あの当時、アジアで紛いなりにも主権国家といえたのは日本を除けば中国とタイ王国くらいのもので後は欧米の植民地だったのだからせめてこれらの地域の独立を政治的、経済的そして外交的に支援してやれば当時の日本の立場もずい分変わったことだろう。

戦争で消費した莫大な金や物資を使えばある程度のことは出来たのだろうし、傾いていた日本の経済も国外への投資と物流の還元という経済効果で建て直しが出来たのではないだろうか。

少なくともあんな成算のない戦争で国力を消耗し尽くしてしまうよりはずっとましだっただろう。ヨーロッパの戦争には中立を貫いて当時の中国と手を組んで産業経済の建て直しを図った方がはるかにましだった。

そうしてアジア地域の独立を粘り強く支援してやれば日本はアジアの盟主となり得たかも知れない。ただしそこで思い上がって他の民族に対して高圧的な態度を取らなければの話だが。

戦争中、「八紘一宇」とか「大東亜共栄圏」などを唱えたのだから始からそうした思想を掲げて経済と民族の発展を目標にアジアをまとめて努力していけばよかったのだが、技術や経済で劣る民族を劣等民族と思い上がって資源や領土を奪い取るようなことをすれば反発を買うのは当然だろうし、欧米などの旧勢力に打倒日本の格好の口実を与えるだけだったのだがそれに気がつかずに中国侵略を続けて自滅してしまった。その中国国民党も共産党に駆逐されて後世に禍根を残すことになった。

基本的にアメリカは自己の利益最優先で無闇と優等意識が強く心底他国のことをかまうことはないし、今の中国も似たり寄ったりか、もっと危ないので決して信頼出来そうな国とも思えない。日本もアメリカ最優先も良いのだろうがセカンドオプションも必要だろう。

戦争に負けたからと言って戦勝国に隷属する必要もないし、アメリカにしても日本との同盟を堅持しているのは日本を守ろうというよりも自国にとってそれが利益があるからで利益がないと判断すればきっと切り捨てるだろう。それは北朝鮮問題の対応でも明らかだ。

日本は失敗を糧にして学習することが下手な国だが、アメリカに切り捨てられて慌てふためかないように次の一手くらい考えておいた方が良いように思う。外交というのは自国の利益を軸に他国との関係を秤にかけることで国同士が仲良くすることではないことくらいは認識しておかないととんでもないことになるかも知れない。

こんなことはあり得ないだろうが、仮にこれから先日本がどんなに努力してもアメリカ、中国、ロシアという大国に軍事力で対抗するのは人的にも領土的にも不可能だし利口なやり方ではない。日本にとってセカンドオプションは身の丈に合った軍事力を備え、世界に立場を同じくする仲間を得ることだろう。

あの戦争では失うものが多かったのだろうが、得がたい教訓も身に沁みて体験する機会があったのだから、ただただ軍国主義という怪物を仕立て上げてこれに責任を転嫁して非難するだけでなく是非今後に莫大な犠牲を払って得た教訓をもう一度考え直して今後に生かしていくことが出来ればいいのだが。