それでも日本の社会で非合法に銃器を入手することはそれほど簡単なことではない。マニアやその筋の者でもそれなりのメーカー製造の真正銃を入手することは容易ではないと思われる。実弾にしても散弾やライフル弾は別にして拳銃弾は自衛隊や警察、海上保安庁向けに細々とライセンス生産が続いているだけで一般向けには販売されていない。
ところがアメリカでは州によって若干の違いはあるもののその気になれば軽装備の軍隊並みの銃器、自動小銃や散弾銃、機関短銃、拳銃などが簡単に手に入ってしまう。西部開拓時代から銃で身を守り、社会を発展させて来たアメリカでは銃を所持して自身を守ることは憲法上の権利だと言う。だから銃は世の中に満ち溢れている。これは銃規制強化に対抗する銃器メーカーの政治への圧力もあるらしい。
それがために銃の乱射ばかりでなく子供が銃をいたずらをしてその結果誤って他の子供を撃ち殺してしまったり、銃が暴発したり悲惨な事件や事故が頻発しているようだ。実際、急迫不正の侵害を受けた際に真に止むを得ず自存自衛のために武力を行使することは認められてしかるべきだと思う。その点では社会の状況に応じて自衛のための銃を所持することも止むを得ないことかとも思う。
しかし、その所持する銃の性能があまりにも高性能に過ぎる。拳銃などは32口径以下、保弾数3発以下で弾丸の再装てんにはそれなりの時間と手数を要するもの、ライフルは保弾数5発以下、当然再装てんには拳銃と同じようにそれなりの手数と時間を要する銃器を販売すればいいのではないか。例えば弾倉を特殊なドライバーなどでネジ止めしないと弾丸の再装てんが不可能などという程度の銃器を。
自存自衛のための銃器なら弾が3発もあれば十分だろうし、口径も大口径の威力のあるものは要らない。相手に不法な攻撃の意思を思い止まらせる程度のもので十分だ。それに再装てんが難しいと射撃に間隙が生じるので罪を犯した際に警察などの治安機関の突入を防ぐことが難しい。銃などないに越したことはないのだろうが、どうしてもと言うのならそんなものでも十分に自分を守ることは出来るだろう。
アメリカでは警察が装備している銃では貫通不能な防弾衣を纏って警察よりもはるかに威力のある銃で武装した強盗団が出現して出動した警察が慌てて銃砲店に強力な銃器を購入に走るなどという信じられないことが起こったそうだが、いずれにしても世の中にはあまり危ないものは送り込まないほうが良い。もっとも銃が勝手に弾丸を乱射したりはしないだろうから一番危ないのはそうした危険物を使って他人を傷つける人間なのかも知れないが。