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情報漏洩が未だに絶えない。エロ画像と一緒に最新鋭防空戦闘艦の中枢システムであるイージスシステムの情報を流した海上自衛隊、ウィニーをインストールしたパソコンから高射機関砲の情報を流出させた陸上自衛隊、他の官公庁もまだまだ絶えることのない情報漏洩とそれに対する不毛な対策が続いている。

この国は情報を基本的に軽視する傾向が続いている。60数年前、絶対に負けることのない圧倒的な兵力で臨んだミッドウェイ海戦で完膚なきまでに叩きのめされたその原因が情報戦に完敗したことだということも、太平洋戦争で主戦兵力となる海軍の最高司令官を謀殺されたのも暗号解読と言う情報戦に破れたためだということも、最終局面でほとんど何ら為すところなく完敗を続けたのも戦力の隔絶もさることながら基本作戦情報が漏れていたためと言うことも、それよりも和戦を決定する日米交渉でアメリカに外交暗号が解読され、交渉の前からその手の内を読まれて、ほとんど足元を見られた対応をされていたということも、諸々の資料で明らかになっていながら、未だに情報の重要性について何ら考慮もしない珍しい底抜けにお目出度い民族だ。

「敵を知り己を知れば百戦するも危うからず」と言うが、少なくともこの国の人たちは敵を知ろうとしないし、己も知ろうとしない。情報などを集めて分析するよりもとにかく第一線で戦える頭数を揃えようというのがこの国のやり方だ。情報は取り敢えず第一線に耐えられない虚弱者か傷病人で賄えばそれでいい。紙切れと鉛筆で敵に勝てるか。第一、他人様の懐を覗くのは信義に悖る行為だ。そうした考え方はこの国の人間の隅々まで染み渡った。

情報など二の次、片手間にやっておけばいい、そうした考え方は情報軽視の思考を作り上げた。大したものでもないのならその辺に積んでおけば良い、適当に扱っておけば良い、それが情報に対する考え方、扱い方になってしまった。情報に価値を見出せないものに管理を任せてもそれを厳重に管理などするはずもない。そうして情報はザルで水を救う様に漏れ続ける。

太平洋戦争の際、戦力も工業力も貧弱な日本こそが情報を有効に活用して味方の損害を極限して敵に痛撃を与える戦い方をすべきだった。結果としてあの戦争に勝つ道はなかったものの情報を有効に活用していればあれほど惨めな負け方をしないで済んだ戦闘もあったはずだ。

一片の情報が戦闘の局面を変えてしまうことがある、国家の方向性を変えてしまうことがある、経済活動に一大変化を及ぼすことがある、だから地道に情報の収集蓄積と分析を繰り返し、局面の客観的実相を捉えて出来る限り正しい判断が出来るようにすること、それが情報収集分析の目的だ。自らの行動の指針となるべきその情報が漏れてしまえばどんなに力を尽くしても相手に勝てるはずはない。

情報管理の第一歩は情報を如何にして管理するかではなく情報の持つ重要性や意味を十分に理解させることだ。理屈が分からずに対策を実行するのと理屈が分かった上で対策を実行するのとではその効果に雲泥の差が生じることは疑いがないことだ。そんな悠長なことをしている暇はない、適正な情報の管理は差し迫った重大事だと言うかも知れない。しかし、ノウハウを教えただけではまた喉元を過ぎれば熱さを忘れて同じことを繰り返しては学ばない日本人の悲哀を舐めることになるだろう。この際多少の時間がかかってもノウホワイを知ってこそ効果が上がることを学ぶべきだ。