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もう60年以上も前に終わった過去のことなのに、そして勿論戦後世代で実際に戦ったわけでもないのに「男たちの戦艦大和」などを見ていると腹が立ってきて「おのれ、鬼畜米軍」などと憤ってしまう。今は日本の一番のパートナーとなっているアメリカなのに。

しかし己を知らずに身の程に余る戦争を始めた日本も悪いのだが、例えば戦艦大和に現代の速射砲や高性能自動対空火器、スタンダードミサイルなどを積めるだけ積み込んで沖縄に行かせたらきっと米軍の艦載機など鎧袖一触、蚊トンボのように蹴散らして見事に沖縄をいやと言うほど砲撃して帰って来ただろうとか、沖縄戦に今の自衛隊を注ぎ込んだらきっと沖縄から米軍を追い落としただろうとか、サイパンの戦車戦に90式戦車を投入したら米軍のM4など段ボール箱のように穴だらけにして蹴散らしただろうとか、そんなことを考えていたら、本当にそんなことを小説に書いている作家がいた。

大体、筋書きは僕が考えたのと似たようなものだったが、この人もかなり鬼畜米軍(そして鬼畜旧ソ連)派らしく、太平洋戦争に自衛隊を参戦させたり、当時の日本の夢のような兵器を未来人の未知の力を借りて完成させて注ぎ込んだりしては当時の米軍やソ連軍をコテンパンに撃ち破って日本軍を大勝させている。

勝った負けたではなくて、あの時、日本の指導者がもう少し広い視野を持った国政を行って、せめて開戦だけは避けて中立を守っていたらあのような悲劇は起きなかっただろうし、コテンパンに負けた歴史を振り返ってムカつくこともなかったかも知れない。

日本の外交べたはもう何かをいう気にもならないが、だからと言ってアメリカ一辺倒で良いものだろうか。アメリカと言う国は、「義によって助太刀致す。」などという考えは欠片も持ち合わせていない。北朝鮮問題でも、「拉致はテロだ」「拉致が解決しない限り北との和解はない」などと言っておきながら、あっという間に口座凍結を解除して北朝鮮に歩み寄りだした。

これはこれで外交的な理があるのは分かるが、それにしても本当に信用できない国だ。これまでも日本はアメリカを信じてずい分煮え湯を飲まされてきているのに、この国はアメリカ一辺倒を変更しようとはしない。アメリカ中心でも良いから別の選択肢も留保しておくと言う手もあるのだろうが、恋焦がれた相手を見つめる女性のように脇目も振らない。

いくら恋焦がれようと追随しようとそれはそれでいいのだが、アメリカにとっての唯一の外交的興味は自国の利益であって同盟国などと言っても状況によっては簡単に切り捨てかねない。今、日本よりの姿勢を取っているのは自国にそれなりの利益があるからだ。日本の基地を失うとアメリカは西太平洋から東シナ海、インド洋までのプレゼンスを失うことになる。そのためには自分に一途に甲焦がれる日本が必要だから日本を利用しているだけで何時中国あたりに方向をシフトするか分からない。

ところでイラク戦争を始める時、あるアメリカ人がイラク戦争の正統性を滔々と述べるので「アフガン戦争は紛いなりにも自存自衛の大義があった。だから国際社会で共鳴する仲間も出来たし、決して強い非難も起こらない。しかし、イラクは事情が違う。アメリカはそんなに石油が欲しいのか。日本の占領政策をイラクにも導入すると言うが、日本はそれが誰であっても長には忠実と言う極めて特殊な国民だから成功したことで、イラクはそうは行かない。もしもこんなばかげた戦争を始めるとイスラムとの宗教戦争になってしまうぞ。」と言ってやったらとても嫌な顔をしていたが、やはりそのような展開になって泥沼化してしまった。

戦争で亡くなった方たちやその家族には言いようのない悲劇で気の毒としか言いようがないが、アメリカには「思い知ったか」とでも言ってやりたい。あの国もけっこう学習能力がない国かも知れない。日本は宣戦布告をしない不意打ちの得意な卑怯な国と言うが、アメリカは西部劇のヒーロー気取りで必ず先に撃たせて大義名分を保とうとする。しかし、アメリカの頂点も第二次世界大戦までで、その後は超大国とか言いながら同じ失敗を繰り返しては国際社会の顰蹙を買ってばかりいる。

拉致問題はアメリカと共同歩調を取らないと解決しないなどという政治家がいるが、自国の利益しか興味のない国などと共同歩調も何もないだろう。アメリカと共同歩調を取る前に日本もその視野狭窄近視眼的な外交を止めて少しは広い視野で国際社会の様相をしっかりと見詰めるべきだろう。

話が外れてしまったが、もうずい分昔のことで日本がアメリカと戦ったことさえ知らない世代もたくさんいるということだが、何百万人と言う命で購った貴重な経験を簡単に忘れ去ってはいけない。何が悪かったのか、どうすれば良かったのかしっかりと学んで先に役立てるべきだろう。まず何よりもあまりアメリカを信用し過ぎることのないように。物事にはセカンドオプションと言うものが必要だと思う。まさかの時のために。