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太平洋の諸島国家であるツバル共和国が水没の危機に喘いでいると言う。温暖化で海水面が上昇して陸地を浸食しているのだという。そう言えば今年の冬は記録的な暖冬だったそうだ。短期的な周期での寒暖の差はあるのだろうが、今年の暖冬は間違いなく地球温暖化の影響があるという。冬が暖かいと言うのは生活することを考えると悪くはないが、真冬にコートを羽織ると汗ばむような暖かさには不気味さを感じる。

大気中の二酸化炭素の濃度が増加し始めたのは産業革命の頃というからおよそ100年ほどで人間の活動は地球環境を回復不能なまでに悪化させてしまったことになる。この100年、物質文明は急速に進歩した。特に先進国と言われる国の進歩は著しい。これに開発途上国が追随する。誰もが便利で豊かな生活をしたいだろうし、それを止める権利は誰にもない。こうしてエネルギーの消費量は急増し、その結果、排出される炭酸ガスも増加する。

豊かな暮らしを支えるために森林は伐採されて農地に変わる。その農地に水を供給するためにまたエネルギーを必要とする。そして炭酸ガスを吸収する森林は消え、さらに大気中に炭酸ガスが蓄積されて行く。

炭酸ガスの排出規制のために京都議定書が調印されたが、アメリカ合衆国や中国などは批准していない。またこの議定書どおりに炭酸ガス排出規制が行われても温暖化を阻止することは出来ないと言う。確かに最近身近なところで温暖化による変化を感じるようになった。

以前ははるか太平洋上で生まれていた台風は九州近海でボコボコと発生するし、以前よりも大型化している。温暖化に加えてヒートアイランド現象も関係しているのか日本の各地でこれまでなかったような局地的な集中豪雨が発生するようにもなった。都市の街路樹の代表であるイチョウの紅葉も12月にずれ込み、11月はまだ青々とした葉を茂らせている。以前は山中湖や河口湖が冬期に氷結してスケートが出来たが今は氷結すること自体稀になってしまった。

日本から桜が消える日もそう遠くないと言う。植生が変われば生物の分布も変わって日本は温帯から亜熱帯へと変化していくのだろう。そして砂漠化と豪雨という悪循環に見舞われるのだろう。50年後には環境難民数億人が発生すると言う。

何かをしなければ始まらない。だから省エネや使い捨てを止め、資源の循環に努めるという。しかし、小まめに電気のスイッチを切り、割り箸を使わないなどと言う個人の努力ではもうどうにもならないほど地球環境は悪化してしまっている。将来の人間の歴史の中で「好戦的で熱核兵器を開発し、豊かな生活を標榜して貪欲なまでにエネルギーを消費した20世紀の人間が地球を食いつぶした」と言われるのかも知れない。