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海上自衛隊の最新鋭戦闘艦であるイージスミサイル護衛艦の情報が流出したと言う。それも流出には機密に触れる権限のない複数の下士官が関与している可能性があるらしい。それは一体どういうことなのだろう。以前に自衛隊の高級将校などがかかわった機密漏洩などはあったが、最近は下士官、兵による情報流出が相次いでいる。

大体、イージス艦は艦隊防空の要であると共にMD機能をも有している防衛の根幹にかかる戦闘艦で、しかもMDなどというのは相手に対する威圧のために、公表されている性能は多分にはったりも含まれるのだろうから、それが漏れてしまっては相手に対するコケ脅しにもならない。

第一、こんなことばかりしていると米国は日本に最新鋭兵器を売ってくれなくなるかも知れないので日本の防衛能力向上に大きな齟齬を生じる可能性がある。ある大手の電気会社のココム違反などで莫大な賠償を求められるなど過去にもずい分こんなことがあったのは事実だ。

情報の漏洩もやる気でやるのとうっかり流れてしまうのとはちょっと事情が異なるかもしれないが、ファイル共有ソフトなどによる情報流出もやや治まって来たとは言え、相変わらず発生している。インターネットに接続しようが、ファイル共有ソフトを使用しようが、そこに流出してはいけない情報を置かなければ外に出ることはない。ないものが流出することはあり得ない、これは絶対的な真理だ。

要は情報の取扱う人間の問題なのだ。つまり情報を取り扱う人間の「情報に対する意識の問題」なのだ。どうも日本人は情報を収集することも情報を守ることもいずれにしても情報に対する重要性の認識が甘いようだ。太平洋戦争でも情報収集分析には極めて消極的で何度も痛い目を見ても学習しようとはしなかったし、暗号を含む情報保護についても「まあ、大丈夫だろう」で終わってしまった。こうした情報軽視の姿勢はそのまま情報保護意識の低さに繋がる。イージス艦の情報なども実際にやり取りしている者たちにはパソコンゲームのスペック程度の意識しかなかったのかも知れない。

各官庁、企業とも情報漏洩防止には腐心しているようだが、結局は施策やシステムの問題と言うよりもそれを扱う人間の意識の問題なのだろう。その意識を向上するのはシステムを開発するよりも遥かに多くの時間と努力が必要だ。多数の最新鋭戦闘艦や戦闘機を揃えても紙切れ一枚の情報で国家の命運が変わってしまうことがあることを良く理解しておくべきだろう。