超高齢の一人暮らしのHさん。歯がグラグラすると初診で来院された。口腔内を診せてもらうと、虫歯だらけの数本の根っこが支えとなっている長いブリッジの動揺が著しい。


すぐに抜歯したいところだが、部分床義歯を今まで全く使っていない。咬合も著しく低くなっている。全て抜いてしまうと食事が困難になるので、最低限噛めるところを残し、一番悪い部分だけ抜いて義歯を作ることになった。
持病があるため、薬を沢山飲んでいるので、抜歯には細心の注意が必要だ。嚥下も困難なので、アシストについてくれる歯科衛生士も気が抜けない。

適当な抜歯が終わり義歯を新製してセットした。調整に何回か来て下さいと伝える。しかし、再来の予約に来られない。受付が電話をすると、もう行きませんとガチャッと切られる。

そして半年後、一時的に残していた歯が痛いの診て欲しいと電話があった。この時に断っていれば、心折れることはなかったのだが、ついなんとかしてあげたいと思い診させて頂いた。

予想していたとおり、作成した部分床義歯は、まったく使っていなかった。

残っている歯を抜歯する必要性、義歯を使わないと歯茎で食事をすることになると再度説明し、抜歯して追補して治療を進めることにした。事前に説明はしているのだが、抜歯後大きく腫れてしまった。また、今回は内出血を起こして、顔の外側に殴られた後のように一部が青黒くなってしまった。
抗生剤を投薬していたのだが、飲みたくなかったから飲んでいないと。術中に、顔の外に何か液が飛んだので、こうなったのではと責められる。顔には抜歯時に使うタオルをかけていたし、特別な薬剤を使うこともない。生理食塩水ぐらいだが、それで顔の表面の色が変わることはない。


窓口で受付に、本日の診療費用70円を置いて、もうしばらく来ませんからと予約を取らずに帰られた。

善かれと思い診させて頂き治療に入るも、ラポールが取れない患者は、今後断るしかないと改めて思う。
保険診療の屋台骨を自ら壊していると、これからも気づかないだろう。
ときどき嫌な思いをすることもありますが、それでも歯科医師人生は続く。
なんだかんだ言いながら、明日も皆さまと共に、良い一日です。

追伸:
写真は、全く関係なく、先日食べた美味しかったモツ鍋。

モツ鍋のように味ある男でありたいと思う。