イラスト:いらすとやさんより

 

先日、僕の咬合チェックが終わり、担当歯科衛生士によるメインテナンスに入っていた。

しばらくすると歯科衛生士が院長室にやってきて、

 

「先生、右下のインプラント周囲の歯肉がおかしいです。」

 

昨年秋に撮影したレントゲン上は、問題がなかった。

しかし、直ぐに撮影してみると、大きく周囲の骨がなくなっていた。

患者さんに説明し、インプラント周囲炎に対する処置をさせて頂くことに。

 

開いてみると、今まで経験したことがないぐらいの骨欠損。

定期的にメインテナンスに来て下さっている。

喫煙歴はない。

日々のコントロールも問題ない。

 

なんでだろう...

 

感染した部位を除去しながら考えた。

15年前に埋入したインプラント...

あ、もしかして...

 

感染除去後、インプラント体表面を綺麗にする特殊なバーで磨き、骨補填剤、メンブレンを入れてオペ終了。

患者さんには、今できるベストを尽くしたが、また感染のリスクはある事を説明し終えた。

 

患者さんが帰った後、15年前の記録を見返すと、予想が当たった。

 

HA(ハイドロキシアパタイト)コーティングのインプラント

 

だった。

指導して下さった先輩歯科医師の真似をして使用したインプラント体だった。

使用しながら臨床的な違和感を感じ、数本埋入した後は一切使っていない。
購入していたインプラント数本、システム一式全て捨てた。

実際、数年後海外では、ほとんど使われなくなり、日本と韓国の一部のメーカーが扱うのみになった。

 

以前、インプラントトラブルの症例をみせてもらったことがあり、それが、まさにHAインプラントだった。

あのレントゲン像と全く同じだった。

周囲の骨が、一気にズドンと落ちる。

それも当院の患者さん達は3ヶ月ごとに来て下さるので、この1、2ヶ月でだ。

 

通常のインプラントでも周囲炎は起こるが、ココまで早く骨が落ちるのは僕は経験がない。
あのまま使い続けていたら、僕は地獄を見ていたと思う。

 

開業して2年後に、鹿児島の尊敬する先生に言われたことがある。

 

臨床的直感を大切にすると良い

 

と。その言葉は間違っていなかったと今日つくづく思った。

 

人の体を相手にする医療は、本当に分からないことばかりだ。

だから僕は学びを止めない。

歯科医師を辞めるまで、勉強を続ける。

 

明日も皆様と共に、良い一日です。