一昨日、急遽カンガルーが飛んで、当院の歯科衛生士の水平埋伏智歯の抜歯を行った。
昨日の出勤時、どう?と聞くと、
腫れもなく、痛くないです!
と聞き、安堵。
自分が抜歯したスタッフが顔をパンパンに腫らせてアシストする顔は見たくない。
歯学部の学生は、教育という名のもとに歯科医師国家試験を通過する前に臨床実習がある。
その時は教官がアシストについてもらえば治療が出来る。
僕は、変わった経験をさせてもらっていて4年次の秋から口腔外科に顔を出していた。
昔あった教養課程廃止のために、調整の期間が1ヶ月程度あり、その間は何をしても良いという時間があった。
茨の道が好きで、朝が早く不人気の当時の第一口腔外科に迷わず行った。
僕一人だった。
そのおかげで先輩の先生達には大変良くして頂いた。
先輩方の抜歯のアシストについていると、自分もやりたくなる。
後輩や知り合いを連れてきて、学生時代から眠った歯を抜いていた。
歯科医師になりたての頃は、早さを競っていた。
もちろん安全も考え。
縦に切開を入れ、大きく歯茎を広げ、しっかり親知らずを明示するのが当時は良いと考えていた。
頬っぺた側の骨は邪魔になり大きく削ることも。
歯茎を大きく開き、骨の削る量が増えると、当然のように腫れや痛みが伴うことが多い。
大学にいる時は、それが当たり前と思っていた。
大学院2年の時に、僕の歯科医師としての一番の恩師である福岡の天神で御開業の山道信之先生は違った。
補綴科といって被せ物や入れ歯の専門の先生だったのに、親知らず抜歯が綺麗で早いのに驚いた。
山道先生、一言。
開業医が腫らせちゃダメね。
お客さんいなくなるよ。
縦の切開は入れずに、遠心に必要最小限の切開のみ。
そこから歯を小さくして骨も削らない抜歯だった。
今も行う僕の抜歯のお手本だ。
それにプラスして今は手術用顕微鏡マイクロスコープを用いているので、直視で見える範囲が非常に大きく、より安全に行える。
これは山梨の秋山先生の教えのおかげだ。
ただ、難しい症例は時間がとてもかかる。
そのため佐世保共済病院に大学時代にお世話になった先輩の先生がおられるので、自分が難しいと思った場合は紹介させてもらっている。
自分が安全に行えるかどうかの基準が大切と思う。
今日は昨日と変わり治療が多い一日。
そう僕の出番が多い。
お一人お一人、しっかり診せていただきます。
本日も皆様と共に、良い一日です。