インプラントがグラグラする... 定期的なメインテナンスが大切です。 | 隠れキリシタンの島で隠れてない歯学博士 高﨑智也のスローライフブログ

隠れキリシタンの島で隠れてない歯学博士 高﨑智也のスローライフブログ

歯学博士/長崎大学臨床教授/東北大学非常勤講師
手術用顕微鏡を全ての診療室に導入し、1本1本の歯を大切にします。
歯科衛生士と共に取り組む予防歯科。
裸眼では見えない噛み合わせの調整、痛みが少ない歯ぐき蘇り手術を行っています。

歯周病でお悩みの方は『なちゅらるティース』にご相談を

 

12年前にインプラント治療をさせて頂き、定期的にメインテナンスに通って下さっているAさん。

チェアーに座ったAさんと何気ない会話をしながら、表情を見て、顎の動きに異常がないか、しゃべりにくそうにしていないか等を確認。

その後、咬合紙(噛み合わせを確認する赤い薄い紙)で、噛み合わせを確認し、担当の歯科衛生士にバトンタッチ。

 

しばらくすると、衛生士から、

「右下のインプラント上部が動いています。」

とインカムで連絡が。

あ、あの部分か...

 

インプラントは、どうしてもネジ止めする事があり、そのネジが経年的に緩んでくる事がある。

またメーカーにより、そのネジの遊びがバラバラだ。

12年前、当時は良いと言われ使用していたインプラントだが、遊びがあまりにも大きいので、数本埋入して使うのを辞めた。

埋入していないインプラントは数本余っていたし、ドリルのセットは一式購入したばかりだったが、今後使うのは、なんとなく怖いと判断し、泣く泣く廃棄した。

そのおかげで、当院では大きなトラブルはないが、あのインプラントを沢山埋入している先生は、今頃、大変な思いをされていると思う。

実際、そのインプラントは、現在販売中止になっている。

 

今回のAさんの場合、歯が2本つながった形の上部構造だ。

マイクロスコープを使いながら、丁寧にネジ山を明示して、ドライバーを使ってネジを回してみると、何かおかしい。

奥の方が外れ、上部構造を取ってみると、手前のネジが破折していた。

緩みだけではなかった...

 

さて冷静になり、口腔内の本体に残った折れた先がどんな感じか確認すると、幸い揺れていた。

スルッと取れたので、良かった。

遊びが大きいインプラントだったのが功を奏した。

 

次に、インプラント部品の在庫を確認する。

ネジは購入していて予備を持っていたはずだ。

ゴソゴソ探すと、あった❗️

見つけて、安堵。

 

Aさんにネジが破折していた事を説明し、今日は、インプラント上部の再装着を行い、メインテナンスは別の機会にさせて頂く事になった。

やはり、

定期的なメインテナンスは、とても大切です!

インプラントに限らず、噛み合わせも変化するので、症状がなくても歯科医院に通って欲しいです。

 

Aさんが帰ったあと、ネジの在庫の確認をした。

お口の中に入っている方が数名おられるので、同じような事が起こる可能性がある。

普段使わないインプラントの部品を購入し、在庫として持っているのは不本意だが、遠方からの患者さんも多いので、何回も来てもらうのは申し訳ない。

また、今は、まだ部品提供しているが、今後なくなる可能性がある。

実際そのメーカーのその前のインプラントの部品は、もう販売していないと聞いている。

ちょうど、ディーラーの方が来てくれる日だったので、少し多めに注文を行った。

 

約10年前、インプラントブーム全盛だったから、日本の歯科界、これから色々起こるだろうなぁ...

僕自身、今でもインプラント治療が必要な方には埋入させて頂いているが、埋入する度に背中の十字架が増える気持ちでいる。

それだけに、やはり自分の歯、天然歯が大切とつくづく思う。

 

写真は、全く関係なく、先日のスイス研修の際に行ったビルケンシュトックだ。

スイスの大自然に触れ、あらためて人間って、なんてちっぽけなんだ!と確認できた。

日々やれる事から精進を続けていく。

明日も皆様と共に、良い一日でありますように❗️

 

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