ワルファリン服用患者さんの抜歯。 | 隠れキリシタンの島で隠れてない歯学博士 高﨑智也のスローライフブログ

隠れキリシタンの島で隠れてない歯学博士 高﨑智也のスローライフブログ

歯学博士/長崎大学臨床教授/東北大学非常勤講師
手術用顕微鏡を全ての診療室に導入し、1本1本の歯を大切にします。
歯科衛生士と共に取り組む予防歯科。
裸眼では見えない噛み合わせの調整、痛みが少ない歯ぐき蘇り手術を行っています。

僕が住んでいる生月島は、過疎化が進んでいる島です。

つまり高齢化も進んでいて、たくさんの薬を飲んでいる方が、来院されています。

その中で一番頭を悩ますのが、ワルファリン服用患者さん。

僕が口腔外科に所属していた頃は、中止して抜歯するのが普通でした。

しかし、最近は全身のリスクを考え、極力止めずに抜歯するのがスタンダードになりました。

万が一のリスクを減らしたいのが、開業医。

近くに病院歯科があれば紹介するのですが、ウチからは1時間以上かかってしまう。

車がない高齢者の方には、厳しい状況。

そんな訳で、血液検査の結果とにらめっこして、止める自信がある抜歯は、ウチでやっています。


今日も万全を期して取り組み、不良肉芽の掻爬、縫合、圧迫とスムーズに行い、止血確認をして帰ってもらいました。

と、ところが夜にAさんから電話が。

A「ずっ~と血が止まらないのですが。」

僕「まずは30分しっかりガーゼか何かを噛んで下さい。その間、話したりしたらダメですよ。そして30分後連絡下さい。」

完璧に止血出来ていたはずなのに...

嫌~な予感がして、クリニックに降り、診療とは全く別件で、ちょうどクリニックに来ていた主任衛生士に準備をしてもらい、患者さんに電話すると、

A「まだ、出続けています。」

僕「すぐに来て下さい。」

と伝え来て頂きました。


診せてもらうと確かに、じわ~っと出血が。

僕がグッと圧迫しようとすると、痛いとのこと。

そう。鎮痛剤が切れていて、ぐっと噛めなかったため、自宅での止血が上手くいっていなかった。

麻酔して、再び僕の指で圧迫。

押さえながら、顔をよくみると、嫌~な予感が当たったひらめき電球

お酒を飲んでいたキュピーン顔文字

Aさん、お酒がとても大好き。

抜歯時に、

僕「今日は、お酒は控えて下さいね。」

と伝えていたのに、飲んでいた。

もっと強い口調で言えばよかったと反省ガクリ

しばらく圧迫すると、すぐに止まり、安堵。

これ以上、お酒を飲まないことを伝え、帰宅してもらった。


今回は大事に至らずにすんだが、これから、もっと注意が必要だ。

ワルファリンもそうだが、最近飲む人が急激に増えた骨粗鬆症の薬が嫌な感じがする。

歯槽骨との相性が非常に悪いような気がするからだ。

歯科の勉強も、まだまだあるのに、全身の疾患、薬の勉強も続けなくてはいけない。

時間を、もっと有効に使わねばと感じた今宵。

焼酎一杯飲んで、寝るとします。


明日も皆様と共に、良い一日でありますようにニコニコ