あれほど探したのに、けっきょく見つからなかった黒白フイルム。
3か月ほど前に、探すのを断念していた、そのフイルムが、ひょっこり現れた。
撮影した日は、2023年秋頃。もう何を撮っていたのかさえ、すっかり忘れていた。
さいしょの一枚目は、ああ、中山の古い喫茶店だった。
●カメラ:Voigtländer BESSA66
●付属レンズ:Vaskar75mm F4.5
●フイルム:Shang Hai GP3 ISO400 ※ISO200として露出計測
●自家現像:D-76(home made mixture) 11min/20°1 + 1
●スキャン:チャンプカメラ青葉台店
これは、いまにも土砂降りが起こりそうな曇天の秋空。
ああ、この風景、もしかしたら、いまは立ち入ることが出来なくなっているかも。
あの山茶花の路も、今後どうなることやら。
横浜市は結局、あの馬鹿げた箱ものの花博にご執心だ。
ここは横浜で唯一の天然・草原・地帯。
パッと見では、スコットランドみたいな風景だ…と云われたことがある。
いや、スコットランド、行ったことないけど。
ただ、そんな風に感じてくれるのは、とても興味深い。
すでに新年度から、この辺り一帯は、規制線が張られて、立ち入り禁止となっている。
もしかしたら、いまのいま、こんなタイミングでひょっこりと、フイルムが出てきたのは…。
きっと何かの啓示に違いない。
これはいまでは貴重なYOKOHAMAのかつての風景なんだ。
…と誰かに伝えるため、このタイミングで、現れたに違いない。
…そう、思うことにしている。
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ドビュッシー「子供の領分」。
1948年製のドイツカメラ。御年76歳。
人形町に店舗を構えていた時代の「カメラのロッコー」で、最初に贖った。
人生初の本格舶来クラシックカメラ。
最初のころこそ、蛇腹のピンホールに度々悩まされてきた。
けれども、その都度、広木店主に面倒を見てもらってきた。
ほんとうに根気強く付き合っていただいた。
そのおかげで、いまではトラブル知らず。
スプリングカメラは、こういうトラブルがつきもの。
買った後、どうしても出てきてしまう場合がある。
売っておしまい…のショップでは泣きを見る。
結果、安物買いの銭失いとなるのである。
けれども広木店主は、キチンと面倒を見てくれる。
ショップはこういうアフターフォローがキチンとしているところで付き合いたい。
昔から営業しているけれど、そういう面倒くさいことを放棄しているショップがわりと多い業界だ。
クラシックカメラは入手して終わりではない。
入手した日からこそ、ショップとの本当の付き合いが始まると思う。
いまでもカメラのことで困ったことが起こったときは、なにかと面倒を見てもらっている。
あわせていろんなここでは話せないオフレコ情報をいただく幸福に預かっている。
精確な知識と判断力は、こういうリアルなやり取りのなかからこそ、醸成する。
今日も一日、お気持ちさわやかに…。