肢別問題集の二次的活用法…肢問から記述式問題を自作する | 山と料理と猫、そしてクラカメな日々の備忘録

山と料理と猫、そしてクラカメな日々の備忘録

山登りを通じて、日々の山行き、お料理、猫のポン王子、そしてクラシックカメラの記録を綴っていきます。

1月10日に購入した、早稲田経営出版『合格革命 肢別問題集2024年版』。

 

商法、会社法はそれぞれ1周。

行政法は昨年度の肢別を3回転ほどで、今年度はまだ少ししか手つかずで…。

そして民法は、家族法と相続法がまだ2周。

民法総論と物権の変動、債権は4周~6周。

 

 

最近、気づいたことがありまして…。

正答した肢問でも、その理由を考えるとすぐに理由がいえないということ。

つまり、理解できていないんですよね。

 

そこで、問いの下に新たに記述式の問題を自作してみました。

 

 

例えばこんな感じ。

 

 

「Aはその所有する建物をBに賃貸し、BはAの承諾を得てその建物をCに転貸している。Bが賃借権を放棄した場合には、AはそれをCに対抗することができない。」

 

この正解は〇なんですが、その理由まで答えられるのが、最初なかなかできませんでした。

 

そこで問題の下に…

 

「もしBの放棄のせいで、迷惑がかかるとしたら…?」という小問を付加する。

 

この問いに対する答えは…

 

「Bの賃貸借権の放棄に伴い、Cの転借権も消滅することが認められてしまうと、転借人の権利の得喪は賃借人の意思決定によって侵害されるため」

 

…とまとめられそうです。

 

 

あとこんな問題…

 

「Aは、配偶者がいるにもかかわらず、配偶者以外のBと不倫関係にあり、その関係を維持する目的で、A所有の甲建物をBに贈与して、甲建物が未登記建物である場合においてAが甲建物をBに引き渡した後に同建物についてA名義の保存登記をしたときは、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することができる。」

 

答えは×。

 

これにこんな問いを付加してみます。

 

「Aの保存登記請求ができない理由とは何か。次に示す文書『Aの(   )となる』におけるカッコ内について、40字程度で埋めよ。」

 

これに対してはこんな回答を…。

 

Aの ( 不法原因給付による建物の所有権は受贈者に帰属するため、A名義の保存登記は無効 ) となる。」

 

…と云った感じです。

 

こんな感じで、新たに問いを立てていくと、わかったつもりの問題でも、途端に馬脚を露す破目になることが炙りだされてきました。

 

 

あと、この問題も、最初訳が分からなかったですw

これは「転用物訴権の論点」について問われた問題なのですが…

 

「Cは、BからB所有の家屋を賃借した際に、CがBに対して権利金を支払わない代わりに、Cが当該家屋の修繕義務を負うこととする旨を合意したため、後日、当該家屋の修繕工事が必要となった際、CはAに対してこれを依頼し、Aが同工事を完了したが、CはAに修繕代金を支払う前に無資力とあってしまった。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として修繕代金相当額の返還を請求することはできない。」

 

答えは○。

 

この問題、最初何を云っているのかチンプンカンプンだったので、判例から調べていきました。

すると、この問題、何気にとっても深いディープな問題だっていう事がわかりました。

 

この問題のモデルとなったのは平成7年9月19日の最高裁判例。

そしてこれをさらに過去へと辿っていくと、昭和45年の「ブルドーザー事件」という判例に突き当たります。この昭和45年判例を受けての平成7年判例とのこと(お話が長くなるので、ブルドーザー事件についてはここでは割愛させていただきます)。

 

さて論旨ですが、なぜ修繕工のAはオーナーであるBに対して修理費用を請求することが認められなかったのでしょうか。

 

理由は、所有者たる賃貸人Bの「二重負担のリスク回避」に求められるからとのことです。

言い換えれば「そりゃ、Bさんにとっては、酷な話で、あんまりだ」ということです。

 

果たしてこれはいったい何を云ってるのでしょう。

 

まず、この「二重負担のリスク回避」の意味が最初、理解できませんでした。

そこで調べてみると、こんなことがわかりました。

 

そもそもその所有者Bは、本来受領すべき権利金を放棄しています。

これは、もらうべきものをもらっていないという点で、賃貸人Bは賃借人Cとの関係において、「対価関係」を放棄しているわけですね。

 

そうすると、BとCには「対価関係」が認められない。

そして修繕工Aが対価関係のないBに対して「オマエ、この修繕費用でお前は不当に利得をえているではないか?」…と訴えるのは、お門違いだということ。

 

つまりその修繕でBが得することはなにも無いわけです。

修繕工Aの訴えは、Bに対して「無い袖を振らせる」のと同じことで、権利金を受領していないBに、B本人にとっては、その建物の修繕でもって権利金に替えるという立場から見ると、泣きっ面にハチというお話なのです。またもさらにいわれのない理由で支払わなければならないのか…嗚呼!

 

…というわけです。

 

これではあまりにも酷な話だ!…ということなのです。

 

ただし、この判例には様々な見方があるようです。

 

もしAが「不当利得」の訴えにしないで、「事務管理」の立場からAを訴えたら、また話の展開は違っていたかもしれません。

 

事務管理で考えれば、BとCとの間に対価関係が成立していなくても、Aは「余計なおせっかいで勝手に修理をした」体で、Bに対して「有益費」の請求の訴えを起こすことが出来たのかもしれません。

ただし、事務管理上の「有益費」には「報酬」は含まれません。

だから、ビジネスとして請負契約をしたAにとっては、これはこれで痛いところです。

つまりこれではタダ働きであり、労務の対価は認められそうにありませんので。

 

…こうして考えると、なかなか難しい問題ですね。

 

結局Aは泣き寝入りになるのでしょうか。

…うーん、これはこれで辛い話です。

 

 

まぁ、こんな感じで、民法は残り家族法と相続法を徹底的に潰して、反復5周に到着します。

全部で15周目標なので、道のりはまだまだですが、昨日よりも今日、一歩一歩着実に進んでいきたいです。

 

 

 

 

ベートーヴェン「交響曲第8番」。

 

最近、会社では冗談半分で、課長クラスから「室長」と呼ばれたり、他の人からも「ボス」と呼ばれるようになってきましたが、なんだか微妙ですね 苦笑

 

わたし:A課長、「室長」ってダレ?

 

A課長:アンタ

 

わたし:え゛っ??

 

…みたいなやり取りが出てきて、ちょっとこそばゆいです。

 

今日も一日、お気持ちさわやかに…。