
セルインメイは、米国の投資のアノマリー。
これだけ和訳すれば、5月に株を売れ、となります。
まあ投資してる人はもう知ってる人多いとは思いますが、このアノマリーの格言には続きがあって
Sell in May and go away, but remember to come back in September
5月に株を売って、9月に戻ってこい
という事を言っています。
もう少し言うと、5月から9月の夏場は株よりも債券のほうパフォーマンスがいいから、債券にシフトしろ。
というような意味もあるそうな。
ここまでは、この格言からは読み取れませんけどね。
しかし格言からわかるのは、夏場株のパフォーマンスは悪くなるので、その前に売り、9月以降に良くなるからそこで買い戻すという所まで。
特に米国では、夏場は機関投資家が夏休みに入り売買量が減り、9月は年度末にあたり、日本でいう所の損益通算が9月までに起こりますから、9月までに損出しをして節税するようなうごきがあり、それも9月がパフォーマンスが悪い一因のようです。

さて、このアノマリーを信じて5月に株を売った人、今年に関しては空振りで、4月のトランプショックからの回復局面でしたから、買い向かうポイントでした。
ただ5月の買い時を逃したとしても、アノマリーを信じるなら、9月からは株を買はなくてはなりません。
そこでどうでしょう、それが出来ているでしょうか?
・5月はセルインメイだから売ろう。
・9月は米国の経済指標が怪しいから売ろう。
・10月は、9月に下がらなかったから月ズレで10月が下げるかもしれないから売ろう。
と、何かに理由をつけて売ることを考えていませんか?
もちろん、他人より先に高いうちに売り逃げて、下げたところを買い戻して損小利大を狙いたいのはわかりますが、実際には米国市場は殆どの期間上昇しています。
そしてその上昇は、下落よりもゆるやかに時間を掛けて上昇します。
ですから、株式は長く持つことで上昇の恩恵を最大に受け取れます。
利大をめざすなら、逃げずに居続けることが必要なわけです。
でね、そこで、その大きい下落を先読みして逃げて、その後の上昇だけを取りに行こうと考えるんですが、その逃げる根拠の一例がアノマリー(の一部文章の切り取り)だったりするわけです。
これはよくありませんよね。
耳障りのいいとこだけ信じる、みたいな話ですからね。

下はダウの長期チャートです。
下落は大きいですが一瞬、その他はずっと上昇というのがわかると思います。
で、今年のセルインメイで売った人、どうなったかというと、一番おいしい、トランプショック後の上昇を一切受け取れていませんよね。
下のチャートは今年の日足のチャートです。
今見れば、5月に株を持っていれば一番利益が出たというのがわかります。

日本株はレンジ相場が多いので、レンジ上限で売り、下限で買い直す戦略は有効で、しかも少し前まではレンジを抜けれず、結局上昇しないなんていう期間もここ30年の間には多かったので、投資とは安く買ったら高く売る、そういうものだ。
という意識が強いかと思います。
下は日経平均ですが、長期では上がるようには近年なって来ましたが、それでもまだ、レンジを形成して抜けれないという期間も結構あります。

それが米国投資をしようとすると、上がった株はもう戻ってこない。
そんな意識を持つことが必要になります。
なので、もしセルインメイを信じて5月に売るのであれば、その後9月に必ず買い戻すことをしないと、米国相場には取り残されます。
もちろん例外の年、というのはありますけどね、
その例外を当てれるのか?という事です。
この辺を踏まえて、僕は積み立て投資については、原則売ったり買ったりガチャガチャはしないで淡々と、5月も8月も積み立て続け、例外として9月、または10月にボーナス積み立て月を設定して、ここで機械的に積立額を増やすことにしています。

ところで
他の方のブログ見てると、米国の先行きが怪しいので、機動的にS&P500のインデックス投信を売った。
みたいな、トレードに投信を利用している人を見たりします。
これはやめたほうがいいですよね。
せめて、やりたいならETF使ってください。
投信では、発注日と約定日が違いますから、暴落しそうだからといって売っても、約定日は暴落後の安値になったりしますからね。
投信でトレードするのは相性の良くない投資方法です。
まあこれだけではなく、アノマリーを投資信託の売買の根拠にするのはセルインメイ以外であっても相性は良くないと思います。
僕は積み立てについては上記のように売りのアノマリーは無視して淡々と積み立て。
ただ、どうせボーナス月のスポット買いの設定をするのなら、それは買いのアノマリーに合わせるという事をしています。
どこまで効果あるかわかりませんけどね~。
アノマリーの内容をよく理解して、有効に使おうとすれば、こんな感じではないでしょうか。

次に、将来の話。
投信の切り崩しを行うフェーズでどうするかになると、これは結構アノマリーを意識してもいいのかなと思っています。
つまり、毎年4%ルールで切り崩すにしても、年末の株高になりやすい時期と、春先に切り崩す設定をしておき、夏場は切り崩さないみたいな。
資産を増やすフェーズでは、売りのアノマリーには流されず淡々と積み立てるのが大事ですが、切り崩すフェーズではどうせ売らなきゃいけないのだから、それなら下がりやすい傾向のある時期を外しておけば、長期では恩恵を受けやすくなると思います。
アノマリーは鵜呑みにするのではなく、使いこなすことが大事という事。
きちんと内容を理解すれば、投信の運用にも当てはめられるところはありそうという事。
そんなお話でした。





