
YouTubeなり、本もかな?新NISA組向けの情報発信って多いですねぇ。
まあうけもいいんでしょう。
僕も見てなるほどと思うものも沢山ありました。
さりながら・・・これは?ん?
と思うものもそれなりに。
一見正しく見えて、これだと行き詰まるだろうなあと思うものも散見されたので、その中でも一つ。
これ、はき違えると、投資、少なくともNISAでの投資は出来なくなるよというのを書いておこうかなと思いました。

去年も今年も、相場環境は全体的には堅調な中で、大きな調整もあり、30%近い下げ。
30%下げるという事は追証を伴う信用の投げ売りが出るところなので、暴落で拾って大きく儲けるみたいなことが出来た人も多かったと思います。
反面、暴落で怖くなって売ってしまった人もいたと思います。
ただ、ここのところの暴落は、いわゆるフラッシュクラッシュ。
瞬間的に下げましたが、1月後までには急回復。
しかし本来、大きな調整局面は数カ月~数年かかるかかることもあり、新NISA組は経験したことがありません。
ですから、大きな調整に備えて高いところで売って余力を作りキャッシュ比率を高めて暴落に備える。
こんな戦略や知識、投資するうえでは必要だよね、って言ってる解説が多くなっている気がします。

でもね、これ、トレードする上での基礎知識なんですよね。
新NISAは年間の買い付け枠が成長投資枠で240万と決まっています。
なので、トレードを繰り返すと、枠はあっという間になくなります。
新NISAになり、売った分の枠は回復しますが、例えば240万売ったとすると翌年に回復します。
ところが、これ勘違いしている人が多そうなのですが
翌年使えるのは翌年分の240万だけで、今年売って消費してしまった240万分と足して、翌年480万使えるわけではなく、年間で使える額が240万というルールは生きます。
今は新NISAが始まって2年目なので、今年売って消費した枠を再度使えるのは最短4年後という事ですね。
(新NISA開始から5年後以降であれば、翌年に使えるケースが出てきます)
今売って将来買い戻す?
枠が回復するまで機動的に買えないのに?
今の値段より、将来もっと高くなってる可能性は考えた?
つまり、新NISAというのは、トレードを目的とした投資ように設計されたものではないので、積み立て投資枠のように基本はバイ&ホールドが合っているはず。
去年も今年も下落局面はありましたし、下落するかも?という雲行きが怪しい局面は、実際の暴落局面よりも多く何度も訪れます。
このたびに売ってキャッシュポジション増やす?NISAで?
そんなこと初心者に教えるの?
え~(;´Д`)
そんなん、絶対おかしなことになると思うんですが。

NISA民には、暴落が来た場合、回復に最大15年かかることを覚えていてもらう。
ここまではいいですよ?
ただその一方で、株価が回復しなくても持っている意味を見出せる投資を薦めるべきだと思うんですよねぇ。
暴落を予見して売るなんて、無理っすよ。
相場には常に居合わせることが大事。
というのが敗者のゲームの中で出てくる
「稲妻の輝く瞬間に投資家は相場に居合わせなければならない」
という言葉で説明されています。
下落の前に売って、上昇の前に戻ってくるというのは、落雷より早く動ける人でないと無理なわけです。
そもそも下落というのは、長く市場を見た場合、一瞬で、市場はほとんどの時期上昇をしています。
以下は有名なジェレミーシーゲル教授の超長期での株式の実質リターンのグラフです
これを見ても分かるように、下がるのは長期で見れば一瞬、この一瞬の下落時期と幅を取るために売ると、その後の買い時一つを誤ると、下落よりも高いところで買い戻すことになり、実質的なリターンを自ら下げてしまうことになります。
そんなリスクを回避するのが、長期積立分散投資なわけで、それをシステマチックに行いやすくする枠組みがNISAという制度なんです。
そしてそれを最もやりやすい投資対象として、インデックス投資があるんです。

基本にたち返れば、老後を見据えた長期で、時間分散を計りながら、毎月できる余剰資金で積み立てていく。
このスキームの中に、途中で売るというのは無いはずなんです。
一歩進めて、個別銘柄を成長投資枠で購入するなら、インデックスと違い、倒産リスクがありますから、購入した株は紙切れになる可能性も、確かにあります。
それを回避するために、暴落前に売る?
それも先述したNISAの制度を考えればナンセンスだと思います。
15年後も倒産しないと思える企業を買い、暴落が来ても、企業からのインカムを老後の40年後まで貰い続ける。
こういった考えの元、企業のオーナーになって企業からの配当金を貰い続ける気なら、株価が来年暴落しても特に関係ありません。
ミカン農家が今年ミカンの木を買ってきて、来年ミカンの木の相場が崩れたとしても、ミカン農家には関係ありませんよね?
ミカンの木に毎年なる、ミカンの実を何十年にわたって収穫するだけです。
ミカンの木が値崩れしたからと言って、ミカンの木を売るミカン農家はいませんよね?

さてさて
ここまで書いてきたのは、NISAでトレードするな。
という内容でした。
さりながら、トレードを否定する気は毛頭ありませんよ。
NISAというのがトレード用に設計されておらず、相性悪いのです。
F1のマシンで、そばの出前に行くようなものです。
制度をうまく使えることが利益を出す近道になるはずですから、制度をうまく使いこなせる知識を身につけましょう。


