
日経平均採用銘柄の、一株当たりの利益を示す日経平均EPSが、ここ数日異常値を示しています。
これについて、もう少し調べてみました。
来週慌てて取引する前に一度読んでいただいたり、お知り合いにも知らせていただければ幸いです。
EPSについて書いた先日の記事も良ければ見てください↓
あまりに急激な下げのため、先日ブログにも書きましたがこの数値が本当であれば、日経平均、ひいては株式市場は、控えめに言っても結構な下落をする可能性が浮上してきます。
ただし、あまりにも急な下落なので、この集計本当?
と眉唾に思って少し調べてみました。
結果から言うと、週明け一旦は慌てず、落ち着いていたほうがよさそうです。
以下にその理由を書きますが

前置きとして・・・
株価というのは長期的には企業の利益に寄せてきますから、EPSが下がるということは株価の下落を示唆します。
そして、そのEPSの何倍の株価になっているか?を示すのがPERで、日経平均については通常時であればEPSの13倍~16倍のレンジで推移しています。
今回の決算期の前、日経EPSは2400円台後半。
仮にEPS2475円とするなら、16を掛けると39600円。
つまり日経平均が39600円ならPERは16倍。
実際にはここ最近、38000円程度を上限のレンジ相場でしたから、38000円を2475円で割ると、15.35。
つまりPER15.35倍。
というように、過去の統計に見合った数値が出ていましたので、この株価なら想定内と思って安心して見ていられる株価でした。
ところが、ここ数日でEPSが2186円まで急落しています。
先ほどのPER15.35倍にEPS2186円を掛ければ、33555円です。
つまり、ここ最近の日経平均のPER水準であれば、株価は33555円になります。
最初に書いたように、株価がEPS(企業の利益)にサヤ寄せするのであれば、先週の終値37753円から計算すると、4000円下落してもおかしくないということになります。

ここから本題・・・
しかしながら、これほどまで急激に、わずか数日でEPSが落ち込むというのが本当に有りえるのか?
ネットでインフルエンサーやアナリストの意見を調べてみましたが、ベテランの証券マンでもこれほど急激な下落は中々見ることがないようで、異常な事態のよう。
ではこの数値の裏でどのようなことが起きていると想定できるか?
有力そうなものを集めてみました。

■1、集計ミス
一つは、過去に集計ミスで異常値が出ていたことがあったという声。
まあデータですから、集計時に元の数値の集計にミスがあれば、計算結果も異常値で集計されてしまいます。
ただ、今のこのタイミングで都合よく(悪く?)通常はほとんど出ない集計ミスがあったという可能性は、高くないですよね。
なので、可能性の一つとしてはあるけれど、ちょっと都合よすぎであくまでの希望的観測の範囲。

■2、そもそもデータがない
来期未定の企業が増えているのが要因という声。
今期の決算、トランプ総統の政策のせいで、シクリカルな企業を中心に来期の業績の見通しが立てられない=未定とするところが増えています。
日経平均は225銘柄ですから、ざっくり言えば225銘柄の各企業のEPSを足して、それを225で割ると平均が出ます。(※1)
しかし予想の利益が未定=0なら、EPSは算出不能。
(※1 ただし通常時価総額加重平均で算出するので、実際の計算式はより複雑です。
また日経平均は株価加重平均なので、EPSも株価加重平均で算出する場合も。)
うん。
日経EPSの正式な計算方法がわかりませんが、業績予想未定の企業を0として足して225で割れば当然値は下落しますから、これがここ数日のEPS下落の正体というのが正しいのではというのに説得力を感じます。

勿論、業績未定の企業が全て結果として赤字を出すのであれば、今の急落したEPSは正しい値になりますから、今のEPSが決して絶対にありえない数字ではありません。
しかし、日本企業の保守的な業績予想の多さを考えれば、今のEPSは、程度は別として上振れする可能性が大きいです。
ですから、今の異常値をうのみにして月曜に取引したり、もし今の数値をベースにしたアルゴ取引きが走って急落したとしても慌ててパニック売りをしたりせず、むしろ今の数値で出てくる理論値まで株価が落ちるなら、買い向かう検討をしておいた方がいいかもしれません。

では、EPSが信用できないなら株価の理論値をどうやって出すか?
私は当面、トランプ総統がやりたい政策が出尽くして、現在業績未定企業の業績予想がある程度出そろうまで、より安定的なBPS(※2)からPBRを算出して株価理論値として代用、もしくはEPSと併用しようと思っています。
(※2 BPSは一株当たりの純資産なので、短期的にEPSほど増減しません)
出典:投資の森日経平均株価:PBRチャート | 投資の森
ちなみに、上記はコロナ以降の日経平均株価と、日経平均のPBRの推移。
概ね1.1~1.5のレンジで、現在のPBR1.4はレンジの範囲内。
以上が私の出した結論です。
予想が当たっているか、また予想が当たっていても株価がその通りに動くかはわかりませんので、良ければ一意見として参考にしていただければと思います。
また、角度の高い情報を持ちの方がいらっしゃったら、ご教示いただけると幸いです。

