決算シーズンも佳境に入ってきましたが、日経平均のEPSは上がっていません。
PERを元に上値目途を予測するなら、日経平均のEPSが上がってこないということは、すなわち日経平均の上値が抑えられるということでよろしくありません。
逆に言えば日経平均のEPSを押し上げてくれるような企業の決算が出れば、その企業以外の株価にとっても追い風になるということです。

ということで、EPSを押し上げてくれるかどうかのキーになりそうな企業についてですが、明日決算発表の東京エレクトロン、ソフトバンクグループはそれにあたる企業です。
なぜかというと、そもそもの日経平均の設計が、時価総額加重平均ではなく株価平均という所に関係しています。
S&P500等の指数は、時価総額加重平均となっていて、これは、時価総額の大きな企業の株価は指数に大きく連動し、時価総額の小さい企業の株価は指数に少額しか影響を与えません。
それに対して日経平均の株価平均というのは、時価総額が小さくとも、株価が高ければ大きく指数に寄与し、株価が低ければ寄与が小さくなります。
ちょっと難しいでしょうか。
具体的な例を挙げて説明してみます。

例えば下記の2社があったとします。
時価総額15兆円の巨大企業と、時価総額1億円の中小企業。
時価総額が15兆円の巨大企業でも株数を多く発行すると、株価は安くなってしまいます。
例えば、上記の企業が1000億株発行すると、一株の株価は150円です。
一株当たりの単価は安いですよね。
対して、時価総額が1億円の小さな企業でも、発行株式数が100株しかなければ、一株当たりの株価は100万円です。
この時、インデックス指数が時価総額加重平均型なら、企業の時価総額が大きいほど指数に大きく寄与するような値動きをします。
つまり、15兆円の企業の寄与度が大きくなり、1億円の企業の寄与度は小さくなります。
対して、株価平均型のインデックスでは、単純に株価の高い企業が、指数に大きく寄与します。
つまり、株価100万円の企業の寄与度が大きくなり、株価150円の企業の寄与度は小さくなります。

おわかりですかね。
日経平均は株価平均型のインデックスですので、とにかく株価の高い銘柄の寄与度が大きくなります。
逆にどんなに巨大企業でも、一株当たりの単価の小さい企業はほとんど日経平均に影響を与えません。
さて、東京エレクトロンの株価は、現在、一株当たり23000円。
ソフトバンクグループは9500円と、どちらもいわゆる値嵩株と言われる部類です。
これらの企業の決算がよければ日経平均のEPSは押し上げられます。
日経平均のEPSが押し上げられれば、上値目途も押し上げられますので、今後日経平均は上がりやすくなります。
つまり、これらの株を持っていない人であったとしても、これらの企業の決算を注目しておくのは大事ということになってくるわけですね。
