【金投資】金(ゴールド)投資、上昇の仕組みは?【あり?なし?】 | グデーリアンの投資ブログ

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銘柄選びや運用成績だけでなく投資に対する考え方や自分の失敗、成功談なども踏まえてお話しできればいいなと思っています。

 

最近テレビで「金価格が上昇していて昔買った金が高値で売れた」なんてニュースを見た人も多いのではないでしょうか?

 

では金(ゴールド)は投資対象としていつ、どのくらい上昇してどの程度の利回りになるのでしょうか?

 

下の表はジェレミーシーゲル教授の有名なグラフです。

ジェレミーシーゲル教授の書籍です↓

 

 

このグラフは、インフレ率を加味したうえで、200年の長期でどの資産がどのくらいの伸びを示したかを表しています。

 

これを見ると、現金は下落している一方、株や債券は上昇しています。

インフレによって現金価値が下がるのは当然ですね。

 

一方で、株は一直線に上がっていますが、これは横軸が対数グラフになっているためです。

1メモリが1ドル、10ドル、100ドルと10倍に振られていますよね、

もしこれが、10ドル、20ドル、30ドルと定数で上がっていくなら、グラフ自体は二字曲線的に上昇するカーブを描きます。

 

例えばこんな風にです。↓

 

10ドルが20ドルになるには2倍の上昇が必要ですが、20ドルが30ドルになるためには1.5倍の上昇でいい、という具合に上昇率が一定なら、グラフは二倍上がらないといけないので、こんな風に見えるのです。

 

金の話からずれちゃいましたが、株は投資の中でいかにパフォーマンスがいいかという説明でした。

 

さて、話を戻してゴールドです。

 

最初のグラフで金は、200年の間ほぼ横ばいです。

ただこの表は、インフレを加味した表なので、実際には金は、インフレに沿って上昇している、ということが言えます。

 

株と比べれば、伸びはほとんどありませんが、インフレと一緒に上昇するということはある程度インフレに対する防衛資産にはなりそうです。

 

ただし、守りの資産で安定した値動きなのかというと、

出典:時事ドットコム

 

実はこのように、それなりに値動きは大きいのも特徴です。

 

ではこの値動きは何によって引き起こされているかというと。

 

■地政学リスク

金は地政学リスクが高まると買われる傾向にあります。

地政学リスクとは、紛争や戦争ですね。

 

少し極端な話をします。

紙幣を発行しているのは国で、紙幣のいう名のただの紙切れを、国が価値を保証することによってお金として成り立っています。

その国が戦争によって無くなってしまえば、紙幣はただの紙切れに戻ってしまいます。

なので、上記のようになるかも?ってリスクが高まるときに、それそのものが実質的な価値を持つ金が買われます。

価値が無くなってしまうかもしれない紙幣を手放して、金(ゴールド)に持ち変えるのです。

 

また、実際に戦火が身近に迫って家を焼け出された場合、大きな家財を持って逃げることはできませんが、金なら身に着けた状態で逃げることもできますので、貴金属としての金も買われたりします。

 

逆に、高まっていた地政学リスクが落ち着けば、それまで上昇した金価格は、行って来いになって下がります。

 

 

ではほかに、地政学リスク以外の要因はというと、以下のようなものがあります。

 

■政策金利の上下動

金をはじめとするコモディティ(銅、原油、大豆、等々)はそれ自体を持っていても金利が付かない資産です。

利益を出すには、値上がりした時に売却してキャピタルゲインを取る以外にありません。

 

一方で、債券や預金などは、売る(解約する)ことをせずに、持っているだけで金利(インカムゲイン)がつき、増えていきます。

ではどのくらいのインカムが付くかというと、それは政策金利によります。

政策金利が上がれば債券や預金の利回りが上がります。

 

例えば今は米国の政策金利は高い状態です。

なので現在、米国MMFにドル建てでお金を預けると年間5%近い金利が得られます。

MMFはほぼノーリスクの債券運用ですから、ノーリスクで5%もの高い利回りが得られるのであれば有力な投資先ですから、市場から資金が流れてきます。

ではその資金ってどこからやってくるのかというと、その一部は金利が付かないことで相対的に魅力が薄れる、金などのコモディティを売却することで出来る資金です。

 

このように、金利が高まると金は売られ、金利が下がると金は買われるわけです。

 

 

 

 

 

■不思議な現象

ところがいま、金利が世界的に高まっているにもかかわらず、金は史上最高値を更新しています。

ウクライナ戦争などの地政学リスクは上昇要因ではあるものの、それだけで説明するには根拠が弱いです。

 

ではだれが誰が買っているのか。

 

それを説明する前に、紙幣とゴールドの歴史を見てみましょう。

 

過去、お金は金(ゴールド)で出来ていました。

金貨ですね。

金貨であれば、発行自治体が消滅しても、金そのものに価値があるため資産として残ります。

金貨として使えなくなっても、金貨を溶かして延べ棒にでもすれば一定の価値がありますからね。

ですから、お金としての信用がありました。

 

ところが、お金は現在のように、紙になりました。

最初に説明したように、この紙は、発行自治体の保証が無くなればただの紙切れです。

ですから、紙幣が登場してからしばらくは「この紙幣のいう名の紙切れは、いつでも金と交換できる」と国が保証することで、紙幣に信用を持たせていました。

 

時が流れて、紙幣にも一定の信用が生まれます。

お金の王様の米国ドルも、実は1971年までは金と交換できたのですが、1971年に当時のニクソン大統領が

 

米ドルと金(ゴールド)の交換を停止する

 

としてしまいました。

これによって世界は一時混乱(ニクソンショック)しましたが、現在ではゴールドの裏付けがなくとも、紙幣には信用がある社会に変わりました。

 

 

 

 

 

■ゴールドの買い手

さてこの前置きを念頭に、金の買い手について話します。

 

本来金融市場の大口の買い手は機関投資家ですが、機関投資家は現在、金利上昇⇒ゴールド売りのセオリー通り、金を売って金利の付く商品に持ち変えています。

だから普通は金価格は下落しておかしくありません。

 

それでも上がっているのは、機関投資家の売りよりも大口の買い手がいるということです。

 

それがだれかというと、実は僕です!

 

はい、嘘です。

 

現在、中国やロシア、第三世界の国々などの中央銀行が金を買い付けているのです。

 

これらの国の多くは、米国と対立する国々ですが、貿易をするにあたっては、対立してるはずの米国のお金、ドルで取引をしなくてはならないジレンマがあります。

だから出来ることなら、米国や西側諸国から経済制裁を受けてもダメージを受けない、ドルを使わない経済圏を確立したい。

しかしながら、人民元やロシアルーブルには、基軸通貨のような信用がない。

他国は信用の無い通貨での取引は望まない。

 

そこで、思い出してください。

紙幣に信用を持たせる方法を。

 

紙幣に信用がなかった時代でも、ゴールドによる信用の裏付けがあれば、お金として使ってもらえた過去があるんです。

 

現在これらの国々は、米国に制裁を受けた際にも、ドルに頼らない経済、貿易ができるシステム構築を目指して、ゴールドをため込んでいるとも考えられているんです。

 

 

 

 

 

■では金は買いなのか?

 

国策に売りなし

 

の格言があります。

 

中国やロシアの国策というのはちょっと微妙ですが、その国策によって現在は価格が上昇しています。

 

それに加えて、この先米国やほかの先進国が利下げに転じるタイミングでは、セオリー通り機関投資家も金売りから金買いにポジションを変えてくることが予想されます。

 

これらの条件がそろえば、金は一段高のポテンシャルを持っているとも考えられます。

 

その一方で金は、最初に述べた通り、超長期では株式と比べてパフォーマンスは格段に見劣りしますので、ポートフォリオの中心に金を据えて、超長期の買いポジションはお勧めしません。

 

 

 

 

 

 

これらを総合的に勘案すると、金は、サテライトで、かつ機動的なポジションで持つというには面白い資産ではないかと思います。

 

例えば、ポートフォリオの5%以内を金ETFで買い付けるとか。

・NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信

・純金上場信託(現物国内保管型)

 

またはDCやiDeCoでも、運用会社によっては金を買い付けることができる場合がありますので、そちらを利用してもいいかもしれません。

・三菱UFJ純金ファンド(愛称:ファインゴールド)(三菱UFJ純金ファンド)

 

他にも現物の金を買い付けることもできますが、ちょっと長くなりましたので、買付方法についてはまたいずれ別記事での解説としたいと思います。

 

金の買い付け方↓を書きました

ゴールドの買い付け方 | グデーリアンの投資ブログ (ameblo.jp)