
■ 配当王の記事の続きとして──「安定した増配率」も重要な視点
昨日の記事では、米国配当王(Dividend Kings)を取り上げました。
50年以上も減配せずに配当を出し続けてきた企業は、まさに“長期投資の象徴”と言える存在です。
ただ、配当王のように「減配しない」ことはもちろん大切なのですが、 長期でのYOC(Yield on Cost:取得価格ベース利回り)を高めるという視点で見ると、 もうひとつ重要な要素があります。
それが、
👉 安定した増配率の高さ
です。
初期利回りがそこまで高くなくても、 増配率が高い企業を長期で持つことで、 10年後・20年後のYOCは大きく伸びていきます。

■ 高配当ポートフォリオの“土台”を固める銘柄を探す
では、YOCを高めるために、 どんな企業をポートフォリオの“土台”として組み込むべきなのか。
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景気に左右されにくい
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キャッシュフローが安定
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減配しにくい
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長期で増配が期待できる
こうした条件で銘柄を探していくと、 ある業種が自然と浮かび上がってきます。

■ そこで見えてくるのが「ミッドストリーム企業」
高配当で、しかも増配率も安定している企業群として、 ミッドストリーム(Midstream)企業が候補に入ってきます。
ミッドストリームとは、 原油や天然ガスを「運ぶ・貯める・処理する」インフラ企業のこと。
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パイプライン
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貯蔵タンク
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LNGターミナル
などを保有し、 “通行料ビジネス”で収益を得るのが特徴です。
つまり、
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原油価格に左右されにくい
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景気後退でも収益が安定
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長期契約が多く、キャッシュフローが読みやすい
という、配当の土台として優秀な業種なのです。

■ 日本の証券会社で買えるミッドストリーム企業
ミッドストリーム企業は北米に多いですが、 日本の証券会社でも購入できる代表的な銘柄は次の2つ。
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KMI(Kinder Morgan)
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ENB(Enbridge)
どちらも利回り4〜7%の高配当で、 しかも毎年の増配も期待できる企業です。
● KMI(Kinder Morgan)
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現在利回り:4.5〜6%前後
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過去の増配率:年2〜3%
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ビジネスモデル:パイプライン通行料+貯蔵料(安定収入)
KMIは2016年に大幅減配を経験しましたが、 その後は財務を立て直し、毎年の増配を継続しています。
▶ 10年後のYOC(増配率3%の場合)
YOC10=5%×(1.03)10≈6.7%
つまり、今の利回り5%で買えば、10年後には7%近い利回りに育つ計算です。
● ENB(Enbridge)
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現在利回り:6〜7%前後
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過去の増配率:年3〜5%(28年以上連続増配)
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ビジネスモデル:規制収入+長期契約でキャッシュフローが非常に安定
ENBは北米最大級のパイプライン企業で、 ミッドストリームの中でも特に安定性が高い企業です。
▶ 10年後のYOC(増配率4%の場合)
YOC10=6.5%×(1.04)10≈9.6%
今の利回り6.5%が、10年後にはほぼ10%近い利回りに育つ計算になります。

ただし、ここでひとつ注意点があります。
■ 配当性向が“高すぎるように見える”問題
SBIなどでKMIやENBを調べると、
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DPS(配当)> EPS(利益)
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配当性向100%超え
という数字が出てくることがあります。
初心者が見ると、
「え、これタコ足配当じゃないの?」
と不安になるポイントです。
しかし、これはミッドストリーム企業特有の“見かけ上の問題”であり、 実態とは異なります。

■ ミッドストリーム企業は「EPSではなくDCFで配当を判断する業種」
ここが最大のポイントです。
ミッドストリーム企業は、 EPS(利益)ではなく DCF(分配可能キャッシュフロー)で配当を判断する業種です。
理由はシンプルで、
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巨大インフラ企業で減価償却が非常に大きい
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EPSは小さく見える
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しかし実際のキャッシュフローは安定している
という構造だからです。
DCFとは、
配当に回せる現金がどれだけあるかを示す指標
であり、 ミッドストリーム企業はDCFの60〜70%以内で配当を設計しています。
つまり、
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EPSベースではタコ足に見える
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でもDCFベースでは健全
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実際には配当は十分にカバーされている
というわけです。

■ 他にもDCFで見るべき業種はある?
ミッドストリーム以外にも、 EPSよりキャッシュフローで評価すべき業種があります。
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通信インフラ
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公益
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タワーREIT(基地局REIT)
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ヘルスケアREIT(医療施設)
これらは、
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減価償却が大きい
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長期契約で収入が安定
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EPSが実態を反映しにくい
という特徴があり、 DCFや営業キャッシュフローで見るほうが本質に近い業種です。

具体例を挙げると
通信インフラ
KDDI / NTT / ソフトバンク(日本)
公益
関西電力・中部電力・九州電力(日本)
Duke Energy / NextEra Energy(米国)
タワーREIT(基地局REIT)
American Tower/Crown Castle(米国)
ヘルスケアREIT(医療施設)
Welltower/Ventas(米国)
といった感じ。
派手さのある銘柄ではないです。
しかしこういう目線で、安定したインカム収入減としてこれらの銘柄をポートフォリオの底固めに利用するのも面白いかもしれませんよ。



