たばこ病をなくす横浜裁判 手記 | 受動喫煙の完全防止を目指すブログ

たばこ病をなくす横浜裁判 手記

タバコ病をなくす横浜裁判は、元喫煙者で重篤なたばこ関連病に罹患した方々が「たばこの害が正しく伝えられていたら、自分たちは吸わなかったかも知れないと『散々吸って病気になったのは自業自得』と批判を受けることを承知して」国とJT(専売公社)の責任を追及する、正にたばこ問題の本質に迫る裁判です。


未成年者への喫煙習慣の防止の観点から自販機撤廃も併せて訴えています。裁判の後は、毎回、近くの開港記念会館で報告と著名人の公演会が恒例になっています。


遅くなりましたが、下記「水野氏の報告」を、本人の了解を得て紹介します。


(ここから)


ついに国(厚生省・大蔵省)を断罪


片山律弁護士が、たばこ病をなくす横浜裁判第9回口頭弁論で


 11月15日横浜地方裁判所大法廷で、たばこ病をなくす横浜裁判(第二次たばこ病訴訟)第9回口頭弁論が開かれました。裁判所前では午後0時20分から寒風の中、70人ほどが集まり事前集会がもたれました。(いつもありがとうございます。)


水野原告代表や高橋事務局長から、この間、「未成年者をたばこ病から守る、たばこの自動販売機の規制等を求める署名」が、県議会に提出後も含めて1万3千筆を超えてよせられたことへの感謝と県当局がこれを不承認の態度を示して、多数でこれが通ってしまったこと、引き続き趣旨を生かす努力を続けることが話されました。


 片山弁護団長の陳述は力強く裁判所を圧しました、これまで3回に渡って、国民の健康を奪ってきたたばこ会社・JTの違法行為を明らかにしてきたことを受けて、国が煙草の専売制を敷いてきたこと、一時期配給制を敷いて国民に広くたばこ消費をさせる事に自ら関与した先行行為があったこと、専売公社がJTになっても株式の過半数を国(財務省)が所有していることから、国が直接管理監修している構造に変化はなく、国の責任は免れないことを、たばこの害が明らかになってきた時代を追って証明しました。


 国はたばこの有害性を充分認識せずに不十分な対策に終始してきたのではなく、十分に認識した上で、税収を重視して国民の健康をないがしろにした経過を余すところなく明らかにしました。事実たばこ規制枠組み条約の制定過程においてアメリカやドイツと共に内容の換骨奪胎を執拗に行って、悪の枢軸といわれた役割を指摘しました。


 更に対策を打つべき責任と指導監督権限があるのにそれを来たさない不作為の責任と違法性を断じました。


 熊本地裁が水俣病裁判において「裁量権縮小の5項目」をあげ、国にたとえ裁量権があって対策を打たないことが直ちに違法といえない場合でも裁量の余地がなくなるとした判例をあげ、国が逃げる口実を与えない論証を行いました。


 多くの国民がたばこ喫煙によって重大な疾病にかかり死亡していくこと、また現にそうなっていることを十分承知しながら、税収を優先して対策を怠った事は、憲法13条と25条に違反すると断じた場面では期せずして満席の傍聴席から拍手がわき起こりました。 (詳しくは準備書面8をお抗みください、横浜たばこ裁判ホームページ にあります。)


 国は「たばこの害を承知して喫煙した」という相も変わらずの自己責任「自業自得論」を中心に反論してくることは明らかですが、国民を悪者にして、自分の責任を逃れようとすることは許されません。


 子供達がいじめにあって自殺に追い込まれていることを、あたかも親や子ども達、教師、教育基本法のせいにして、教育の場に競争原理を乱暴に押しつけ、今の混乱をもたらした張本人の文部科学省には責任がないような「やらせ質問」まで仕組んで教育基本法を改悪する政府の姿とだぶってきます。


 今後の裁判日程は2007年1月17日、3月28日、5月23日、7月18日となりました。


 開港記念会館の報告・講演会では、片山弁護団長の陳述内容の解説があり、漫画家高信太郎さんの楽しい講演がありました。


-中略―


 今日、俳優仲谷昇さんの死去がテレビで報じられました。肺気腫だった由。まさにたばこ病,ご冥福を折ります。


 2006年11月17日 原告団代表 水野 雅信


(ここまで)


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