食後、ホテルを出たのは9:30。パリ市内観光に便利な「L'Open Bus
Tour」 (オープンバス・ツアー)のバス停を探す。サクレクール寺院の
近くに乗り場があるらしいが、“近く”と言うのがくせもの。慣れない土
地では探すのも一苦労だ。あまり母を疲れさせたくないので、日本から実
施会社のパリシティヴィジョンにメールで連絡を取っておいた。
「You can buy your ticket in the bus, the closest stop from your
hotel will be : 68, bd de Rochechouart . Otherwise our agency
is at the 13 rue Auber 75009, Subway: Opera」
返事は上記にある通り。バスの中でも切符は買えるとはいえ、停留所が
分からなければ買う事さえ出来ない。「bd de Rochechouart」( ロシュ
シュワール 大通り)の68番地と思える所を3人でウロウロしたが、ある
のは普通のバス停のみ。大きなカルフールを見つけたので「いつかここに
来ようね。」と娘と言い合いながらも、少し苛々する。偶然通り掛かった
人に聞くと「メトロのアンヴェール(Anvers)駅にあるよ。」と教えてくれ
た。遠回りして随分時間を喰ってしまった。2台ばかりオープンバスらし
き車が通り過ぎたのに。母は黙々と付いてくる。こういう時はそれしかな
いと分かってくれているので、すごく助かる。
アンヴェール駅に戻ると、観光案内所があった。何度か来たことがある
駅なのに、気付くのは初めて。目的が違うと全然目に入らない自分のこの
性格、少し恐いかも。もっともパリ市内でも観光案内所はあまり見たこと
が無い。ここには多くの観光客が訪れるサクレクール寺院があるからだろ
う。中に入ると、すでにチケットを買っている人がいた。最初からアヴェ
ール駅ですと言ってくれればいいのに。確かにロシュシュワール大通りで
はあるけれど。
パリ観光案内所
オープンツアーのチケット
パンフレット(外)
小さいのはお得なクーポン(使わなかったが)
パンフレット(中)
切符を買ってバスを待つ。料金は大人32€。税金を含めて3人で97.5€払
った。一人約4,500円(1€=140円で計算)で丸1日乗り放題は安いだろう
か?安いと思えるほど乗りこなせるだろうか?というのが正直なところ。
パリ市内の各名所で乗り降り自由と言っても、ミュージアムパスのように
見て歩いて元を取るには限界がある。
前回5月のパリに来た時、このオープンバス・ツアーをエッフェル塔の
近くで見た。天気も良く、乗っている人は満載で溢れんばかりだった。ち
らりとアレに乗るのも悪くないなと思ったが、こっちにはナヴィゴがある。
約3,500円で1週間乗り放題。絶対にお得だ。
だが今回のように足腰が弱い人を連れている場合は打ってつけ、と思っ
てスケジュールに組込んだ。毎晩足に湿布を貼って寝ている母。今回のパ
リへも忘れずに湿布をお供に連れて来ている。メトロの階段を上り下りし
なくても名所へ連れてってくれるって、随分助かる話だ。母のためだから
と言いつつ、2階の席から風に吹かれてパリ市内をぐるぐる回るのは魅力
的だなとも思っていた。
乗り場は、どうやら通常に走っているバスの停留所と同じ場所らしい。
数人がすでに待っている。10月は15分おきにバスが来るとあったが、日本
のバスと同じで時間通りには来なかった。雨はまだ降っていない。でもウ
リのオープンになっている2階に座るのは寒くて駄目だろう。やっと来た
バスに乗って、もう10時半。この季節でも乗客は結構にいて20人近く、2
階に座っている人もいる。
レモン色の車体が目印
乗り込んで、車内で聴くためのイヤホンを貰う。「お国はどこ?」と聞
かれるので、「Japan」と言えば日本語のパンフレットと共に運転手さんが
渡してくれる。私達は一番うしろの向かい合って座れる場所を確保。
天井や脇にはイヤホンを差し込む所が付いていて、二つボタンがある。
言葉と音のボリュームを選択するためだ。日本語は「6」。ボリュームは
耳に当ててみないと分からない。常にニュートラルになっているわけでは
ないらしい。母に音の大きさを聞くと、「音をもっと小さくして、小さく
」と何度か言うので、よほど大きな音に設定されていたんだろう。確か耳
が少し悪くなってきているはずだから。私の方はやや小さかった。娘のは
そのまま使えるということだった。
渡されたイヤホンは使い捨てタイプ
各国の旗に混じって日本の旗も
車内。一番奥が対面で座れる椅子
それぞれにイヤホンを耳に、走り出したバスの窓から外を眺める。コー
スはパリの中心部を回るグランド・コースを含めて、全部で4つある。今
乗っているのは、その中の一つのモンマルトル・コース。見所は19世紀半
ばに建設された北駅や東駅。建物自体が歴史的建造物。その他リパブリッ
ク広場など。
母はイヤホンを聴きながら窓の外をちゃんと見ている。でも面白いのか
どうかは分からない。「どう?」と聞くと、「説明が詳しすぎて、付いて
いけない。」と言う。そうなんだよね。それほど有名じゃない建物まで歴
史的な話から始まるんだものと、私も思った。観光バスのガイドさんぐら
いが丁度いい。私は途中で聴くのをやめてしまった。娘と母は真面目に聞
いている。やがて雨が降り出した。持って来た傘は1本だけ。もう1本あ
れば良かったと後悔するぐらいの降りになってきた。
車窓から見た「Gare de l'Est」東駅