気持ちのいい季節になったなあ・・・

と、呑兵衛が実感する初夏だ。

ん? 「初夏」って、なんか曖昧だったりするな。

むかーし、国語の授業で季語とかのくだりの際、「5月」と憶えたような気もするが

昨今は梅雨明けの夏の走りを「初夏」と言ってる人が多いような感じもする。

「初秋」や「初冬」は皮膚感覚でもっと限定的なのになあ。

「初春」は慣例的に正月限定だし。

まー、梅雨入り前のこの時季を「初夏」と呼ばせてもらうことにする。

ファーストサマー・ウイカも調べてみると6月4日生まれだしな。

 

とかなんとか言いながら、何が気持ちいいって、

「風」だね。

藤井風もいいが、呑兵衛が愛するのは「夜風」。

しかも「風」と言っても思わずヅラを押さえるような大袈裟なものではなく、

「空気が淀んではいないね」程度のものでいい。

梅雨明けて夏となると、湿度の高い空気がじっとりと重くのしかかってくる感じ。

そうなる前の今の時季がベストなのだよねえ。

 

そう言えば、10年近く前になるのか、

秋葉原の赤提灯にハマって足繁く通った何年かがあったな。

路上にテーブルをしつらえ吞ませてくれる居酒屋が何軒かあったのだが、

その中でも「大衆イタリアンかね子」の路上テーブルが好きだったなあ。

正面に高架の総武線を見上げる路地、佐伯祐三の絵画を彷彿させるごとき構図、

日が長くなった5月の夕暮れは長く、

夜のとばりのグラデーションはあくまでゆっくりと幕を下ろすかの様で…

しかもその「かね子」生ホッピー出してくれてたんだよなあ・・・

 

そんな事を久しぶりに想い出させてくれる気持ちのいい呑み屋に遭遇したのだ。

 

場所は神田。

月末の旧友との飲み会をやる店を下見に行こう!という名目で、

おなじみの畏友・Nと2週連続で神田めぐりであったのだが、

本命候補の1軒目が、まあ、美味しいんだけど結構いいお値段で居心地も良くなく、

この店はやめとこうな、と、全会一致したのだが、

当然呑み足りてなくて街をさまよう二人が出くわしたのが、

立ち呑み屋「K」だった。

 

店内覗くも、立錐の余地なく満員電車かよ!という程の混雑。

あきらめるか…と、横っ面を見てみると、

神田独特の斜線交差の突端にある三角店舗、側面の路地側に路面テーブル!

これはいい!

だが、空いている、と思ったテーブルは、喫煙者用の灰皿テーブルで、

そこはダメだと、お店のオネーサン。

と言いつつ、「ちょっと待って」と素早く、別の折り畳みテーブルを抱え出し、

路地の対面のチェーン店居酒屋の店頭にしつらえ始める。

「ここ系列だからいいんです」

いいねいいね!粋な計らいだね!こうゆーの大好き!

 

1軒目の高価格にいささか意気消沈していた還暦2名、俄然復活する。

ホッピーセット、破格の390円(税抜)だ! ツマミもバリ安!290円とか390円!

Nが追加のホッピー中を「ばか盛り」で頼んだら、

ジョッキ満タンの焼酎が運ばれて来る!

呑兵衛Nもドギモ抜かれ破顔大笑の圧倒迫力。

やあ~いい店だねえ~~~!!!

旨さよりも安さに感動するあたり情けなくもあるが、

オヤジふたり、テンション上げ上げ足腰の疲労も忘れ酒盛る。

少しひんやりとした夜気が酔った身体に心地よく、

背後を通りすがる酔客たちのざわめきすら程好いBGMに聴こえてくる。

いいねえ~! 路上呑み! この季節ならでは!

 

翌日、昼ひなか。

家族を送り帰る単独ドライブ、窓を全開にする。

吹きわたる風が心地いい。

6月の陽光、ボブマーリーを聴きたくなる。

RUSHを聴く時は当然完全密閉なのだが、

ボブマーリーは、窓を開けた方が気持ちいい。

風、街の喧騒、それらと一体化するレゲエビート。

Everything's gonna be all right~

Everything's gonna be all right~

ベース音を身体で聴きたいのでボリュームは結構な大音量だ。

信号待ちで通りすがる歩行者にはイカレオヤジと思われるだろうなあ・・・

でも気持ちいいからやめられない。

 

今度の有休にはボブマーリーの映画、観にゆこうかな。。。