先日のこと、地下鉄乗り換え駅でエレベーターに乗ったのだが、

それは車椅子に配慮した「貫通二方向型エレベーター」ってヤツだったのだが、

先に乗り込んでいた、後ろ姿の女性の動作が妙に不自然だったので目をやると

ワシゃ思わず三度見してしまうくらいビックリギョーテンした。

 

弁当を食べている!

 

おにぎりやサンドイッチではない、弁当

それも、駅弁とか自前弁当ではなく、ホカ弁系発泡ポリプロピレンの容器。

その容器を左手に持ち、右手の箸で彼女のランチタイムはまさにライブオン、

おそるおそる覗き込んでみようとしたのだが、巧妙な角度でガードされ、

背後からは目視できなかったが、あらかた食べ進んでいたようで、

何弁当なのか見当がつかなかったが、薄目にトンカツらしきモノが見えた。

 

エレベーターが階下に着き、先に降りた彼女がゆっくりとした足取りで進むのを

追い越しがてらチラ見したのだが、歩きながらまだ箸を口に運んでいる。

外国人ではない、小柄な日本人の中年女性だった。

 

なんだか色んなことを考えてしまった。

 

よっぽど時間が無いのだろうかなあ・・・

立位の姿勢では、蕎麦なんかと違って弁当は嚥下しづらいんじゃないのかなあ・・・

こんな地下の駅構内で歩きながら食べて、美味しくもないんじゃないのかなあ・・・

 

何より

 

はしたないと思わないのかなあ・・・

 

その女性にどんな事情があったものやらあずかり知らぬことだが、

公衆マナーの乱れ、だとか言うのではなく、

「余裕が無くなってる」のだろうなあ…と思うと切なくなってくる。

その女性が無作法だ、と批難しているのではない。

プラットホームのベンチに腰掛ける時間すら惜しまれるくらいに

お昼ご飯に時間をかけることができない状況に追い込まれ、

でもそういった行為もまかり通ると判断できてしまう日常感覚は、

日本人の貧窮が突き進んでいるように思えてならないのだ。

 

インバウンド観光客がますます増えてきている東京。

地下鉄で、降車客を待たずに乗り込んでこようとするC国人に「チッ!」と

思わず舌打ち打ったりするものだが、

彼らのような金持ち外国人旅行者らからは、

貧しい日本人が哀れに見えてたりするのかもなあ・・・

 

この国の為政者たちよ…、

グローバルな兵器会社や製薬会社に税金を上納する余裕がまだあるのなら、

その前に、

わが愛しき日本の同胞の生活を楽にしてくれよ。

庶民は真綿で首を絞めつけられる様に、じわりじわりと

日々困窮が極まってきているのだよ。

カツカツの日常を刻んでいるのだよ。

 

政治の世界と庶民の日常が、激しく乖離しつつある令和6年。

せめてなんとか「お昼ごはん」くらいは、

愉しく豊かな時間を持てるようにしてくれよ。。。

日本人が歴史の積み重ねで身に纏ってきた「品位」が

ポロリポロリと剥がれ落ちる様に失われてゆく・・・

美徳もへったくれもない、そんな境遇に庶民は落とし込まれているのか・・・

 

弁当の歩き食いをする女性の姿を、俺は見たくない。