その金曜日、ちょっとの残業を済ませ、
「空いてたら一杯やって帰るか…」と
いつもの赤提灯を覗いてみたら、客は2組、
おあつらえむきにマスター前の席が空いていたので、
やれうれしやと、座り込む。
マスターというのは以前どっかの稿で書いた、多少忙しくても
大声で野球談議を振ってくる「関六マスター」のことである。
さて、今夜の話題は一平ちゃんだよな~とにもかくにも・・・
と、ワシがホッピーを頼むか頼まないかのうちに、
注文を遮るようにマスターが嘆いてきた。
「いや~もう、ぞわぞわして落ち着かんですよお~」
「え? 一平ちゃん? 大谷が立て替えちゃったんでしょ?」
「いや、そうじゃないかもしれない…と思ったらもう、
仕事が手に付かなくなっちゃって……」
「え? 何で?何で? どーゆこと?」
ホッピーを催促しながら、続きを促すワシ。
溜まり溜まった思いのたけを堰を切ったように熱く語り始めるマスター。
その要点をまとめると・・・
・一平のコメントが変わったのがまず怪しい
・唐突に「ギャンブル依存症」なんて言い出す違和感
・いくら依存症だとしても、シロートが6億も遣うか?
・大谷の口座から送金があったというのは高額預金者のセキュリティから考えると不自然で、実際は大谷本人の操作なのではないか?
第一報から、そんな事をアタマの中でぐるぐるぐるぐる思い巡らしたマスター、
ハタ! と、一つの仮説に思い至った。
「ギャンブルやってたのは大谷本人なのではないか?」
大谷は「ニューヨークの街を歩いたことがない」と言うほど、
遠征先でも休養と筋トレ優先で、ほとんどホテルで過ごすという。
そんな合い間に、オンラインゲーム感覚で、ネットトトカルチョに興じたとしても不思議ではない。
しかも、100%野球一筋の人生を送って来た大谷だ、いろんな事にウブだ。
その辺り、かつてはワルだったダルビッシュと違うところだ。
ノースキャンダルでこれまで進撃してきた大谷には、
マフィアが胴元だ、とか、そんな想像力もなく、
安易に「ポチッ」と始めちゃったのでは?
そして、それが、いつのまにか積もり積もって・・・
一介の通訳の一平が6億動かすのは違和感があるが、
お金に頓着の無い大谷なら、あり得るのでは・・・
そして、それが露見してしまった今、さあ、どうするか⁉
10年7億ドル(1000億円超)の契約を交わしたばかりのスーパースターだ。
彼をバウアーみたいに出場停止処分になんか、いや、内容によっては永久追放レベルかもしれんが、そんな目に遭わす訳にはいかない。
ならば、どうする?
側近に身代わりの詰め腹切らすしかないだろう。
自民党の政治家が「秘書が全部やったこと。私は何も知らなかった」と言うのと同じ図式だ。
大谷との友情、そして生涯の金銭補償を確約された上で、
「私はギャンブル依存症でした」と、
一平は、殿をかばう忠臣の役を引き受けたのではないか・・・と。
いや、そんなこと、あってはならん!ならぬのだ!
全ての野球人の夢をリアルに叶えてくれるスーパースターが
そんなことをやる訳がないのだー!
マスターの自問自答は混迷を深め、そして心配ばかりが募ってくる。
思いを馳せれば馳せるほど、否定したい仮説ストーリーが真実味を色濃くする。
最悪の展開が確度を高め、心をぞわぞわさせてくる、これが真実なら
大谷のプレーが見れなくなってしまう、怖い、怖い。。。
「マスター、凄い! まったくその通りだわ!」
すまん、ワシ、疑心暗鬼を深める背中、押しちゃいましたm(__)m
思えば思うほどオバケがリアルに怖くなってくる…そんな話でした。
くわばらくわばら。