先週のとある夜、

会社を辞めていった後輩Sと呑んだ。

 

花形部署のエースだった彼は、

株主落下傘新任社長の改革方針と、そこから見通せる未来に失望し、会社を去った。

半年ほど前のことだ。

彼の「脱藩」は衝撃だった。

後輩の誰もが不安を覚え、決断するなら今なのかもと、

来し方行く末を案じた。

 

結果、その後4名が同業他社への転職を決めた。

70人ていどの会社でだ。

できるヤツ、人脈・人望のあるヤツから抜けてゆく。

さらに機を窺ってるヤツの名前も小耳に聴こえてくる。

ガタガタだ。

これが没落企業の有り体なのか・・・

 

Sにその後の我が社の状況を話し、

Sからは新職場の話を聞く。

 

辞めていった人は溌剌としているなあ・・・

残って藻掻いているヤツらは悲壮感の塊だぞ・・・

 

人が企業をつくる。

活力あふれる人が集まるトポスこそが未来を切り拓く。

「仕組み」とか「立て付け」ではないのだよね。

 

一軒目の赤提灯だけでは何となくもの足らず、

久しぶりの神楽坂のこと、

かつて知ったる路地裏のバーへSをいざなう。

 

その昔、自分が「エース」だった頃に

ちょくちょく伺っては経費で吞んでいた

いささかぺダンチックだが、品のいい和風サロンバーだ。

ずいぶん御無沙汰になってしまったが、久しぶりに覗いてみたいのと、

Sが気に入って引き継ぎ客になってくれたらいいな、と、

今は経費使えないこの身だが、今夜だけは奮発しようと乗り込んだ。

 

十数年ぶりの来訪であったが、女性店主が快く迎えてくれる。

昔話を繰り返すワシにSはウンザリだったかもしれないが、

おかまいなく酔っぱらう。

 

…ところが、その店の支払いを、サクッとSに済ませられた。

 

負けた…

やられたね…

おのれの貧窮を身につまされてしまった情けない夜になってしまったよ・・・