外務省の統計によると、海外に居住する日本人は、令和5年現在で129万3562人にのぼります。
この数字を多いと見るか少ないと見るかは別として、これだけの海外在留邦人が居れば、その数也の様々なライフスタイルや人生観がある訳で、中には現地で遺言書を作成しようとする人もいることでしょう。

しかしその場合、日本のルールに従うのか?現地のルールに従うのか?
その辺りどうなのでしょう・・・?

今回は、「外国で遺言書を作成する場合」について概説します。


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今回は財産が日本にある場合に限定しますが、自筆証書遺言書の場合、日本以外の国で作成したものであっても、法律(民法)の定める形式に従って作成されているなら、有効なものとして扱われます。

また「遺言の方式の準拠法に関する法律」によれば、海外に住所や居所がある場合に、その国の法律に基づいて遺言書を作成することも可能とされています。

ただし、作成段階では問題がなかったとしても、相続開始後の手続きが大変になるケースもあるようです。

公正証書遺言についても、日本のルールで作成する事が出来ます。

民法984条では、以下のように規定しています。

(外国にある日本人の遺言の方式)
「日本の領事の駐在する地に在る日本人が公正証書又は秘密証書によって遺言をしようとするときは、公証人の職務は、領事が行う。(以下略)」

海外には、公証人役場もなく公証人もいない為、民法では公証人の役割を領事に担わせることで、公正証書遺言の作成を可能としています。

この場合は基本的に、民法969条の公正証書遺言の作成ルールに従います。

証人については、外国人でもなれますが、日本語を理解できる者である必要があったり、証人の欠格事由(なることが出来ない者)についての民法974条の中の第三項「公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人」という記載の「公証人」を「日本領事」と読み替えるなど、多少変則的な内容を伴います。

このように、海外にいる日本人であっても遺言書の作成自体は可能です。

作成における問題よりも、おそらく相続開始後の手続きにおいては、特殊なケース故の様々な問題を生じ得ることは、何となく想像出来るところです。

ですので、作成可能とは言え、海外在住でも、例えば一時帰国するタイミングがあるなら、帰国している間に作成する方が、困難が少なく済むのではないでしょうか。

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今回は、「海外で遺言書を作成する場合」について概説しました。

遺言や相続に関することって、知っているようで知らなかったり、曖昧だったりすることが意外と多いと思います。

遺言や相続についてのご相談は、遺言・相続専門のにしがや行政書士事務所へお問い合わせ下さい。



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