兄弟姉妹以外の相続人には、遺産の一定分を必ず与えなければならないと民法に定められていて、これを「遺留分」といいます。

もし、この遺留分を考慮されない形で遺贈や贈与が行われ、遺留分が侵害された場合は、どうしたらいいのでしょうか?

そんな時は、「遺留分侵害額請求権」を行使することで、本来取得するはずだった遺留分を取り戻すことが出来ます。

今回は、遺留分侵害額請求権について概説します。

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まず、遺留分の割合は、誰が相続人になるかによって異なってきます。

相続人が直系尊属(父母・祖父母など被相続人よりも上の世代の血の繋がった直系の親族)のみだった場合、遺留分算定の対象となる財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1が遺留分となります。

例えば、相続人が残した遺産の全てが、親密な関係にある第三者や慈善団体などに遺贈された場合は、遺留分が侵害されている状態といえます。この場合に、遺留分権利者が受贈者に対し、遺留分を請求するのが「遺留分侵害額請求」です。

遺留分侵害額請求は、遺留分権利者が相続すべきだった財産に相当する「金銭の支払い」を要求する形で権利行使します。

過去この遺留分侵害額請求権は、「遺留分減殺請求権」と呼ばれ、不動産などの現物を返還する事になっていましたが、2019年の法改正により、現在の金銭の支払を求める形に変わりました。

遺留分侵害額請求は、相手方に対する意思表示だけで行使することが出来ますが、後々の事を考え、まずは内容証明等で行った方が望ましいです。

ただ、この遺留分侵害額請求権には、以前の投稿でも紹介した通り、期間の制限があります。

相続が開始したこと、及び遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことの両方を知った日から1年で、権利は時効により消滅します。また同様に、相続開始時から10年が経過した場合も、消滅するので、注意が必要です。

任意の話し合いで解決する場合には、合意書を作成して取り交わし、返還期日を定めておくことが重要です。

任意の請求で、相手が応じてくれない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てる方法があります。
調停は、当事者のみでなく、その間に調停員が入って話し合いを進めます。

調停が不調(話がまとまらなかった)に終わった時は、次段階として訴訟へと移行します。

ちなみ、いずれかの手段によって遺留分の侵害額を受け取った場合、それが基礎控除を上回る額になる場合には、相続税の申告・納付が必要になるので、この点も注意が必要です。

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以上、「遺留分侵害額請求権」について概説しました。

ちなみに、この遺留分侵害額請求権が、なぜ兄弟姉妹には認められていないかというと、

・子や親などと比べ、血縁関係が遠く、生活関係も離れているため
・相続順位が低いため(第3位)、相続人となることの必要性が乏しいため
・経済的に自立しているを考えられるため

などと言われています。

なお、遺留分侵害額の請求において、調停や訴訟といった段階に至った場合には、行政書士である私が直接サポートすることは難しくなりますが、適切な専門家をご紹介するは可能です。
お問い合わせ下さい。

遺言や相続に関することって、知っているようで知らなかったり、曖昧だったりすることが意外と多いと思います。

遺言や相続についてのご相談は、遺言・相続専門のにしがや行政書士事務所へお問い合わせ下さい。



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