またしても購入してしまった。 しかもTシャツ数枚と、


遊び心満載のゴキブりのおもちゃ。


駄目だ…浪費が過ぎる…。セーブしなくては。


ふと、ゴキブリの玩具を購入した後の生活をイメージしてみる。


何を隠そう。…ナニは隠そう。


私は、ゴキブリが苦手である。子どもの頃は、大丈夫だった。新聞で叩いたり、近づいてフマキラーとか、むしろ楽しんでいた方だった。ただ、大人になってから、駄目になった。


兄の妻は、長崎出身なのだが、目の前でゴキブリを手でつかみ、私と妻を絶叫させた。義姉に言わせると、ゴキブリは昆虫らしい…違う、断じて違うぞ。


そして、興味本位で購入してみた、ゴキブリのおもちゃ。


これを、


例えばいたずらでトイレに置いてみる。妻も娘もきっと絶叫するだろう。


冷蔵庫の中に置いてみる。 妻はきっと絶叫するだろう。


炊飯ジャーの上に置いてみる。妻はきっと絶叫する。


寝ている時に、枕元に置いてみる。 間違いなく絶叫し、私を叩き起こす。下手したら足蹴りが飛んでくる。


…。


でも、そこにあるのはゴキブリの形をした模型であり、


ゴキブリではない。


きっとそれを繰り返していくうちに、どこも何も開けられなくなり、何も出来なくなるだろう。


でも、


そこで諦めてはいけない。


やり続けた場合、その先にあるのはきっと、


ゴキブリを見ても動じない生活が待っているのかもしれない。


それは、所謂、頸椎損傷に見られるフィンクの危機モデル、いやぁ、アギュララとかメズイックとか懐かしい…。


或いは、


キューブラーロスの、死の受容過程に似ているのかも知れない。


ただ、


やってみたいと思うが、これはやらない方がいいとも思う。 


この世にはやって良いことと、


絶対にやってはいけないことがある。


このイタズラ取り組みは、家族関係に亀裂しか入れないので、


私の大事な物をしまう引き出しに、


そっと、片付けておこう。


…。


そして届いた。想像よりも平べったい。もう少しふっくらとして、ツヤツヤしているかと思った。ま、値段相応か。


試しに持ってみた。特に問題は無さそうだ。ま、模型だしね。


このまま、私は人知れず曝露療法を続けてみようと思う。


私の中に、湧き上がる衝動…トイレに…冷蔵庫に…いや、やめておこう。禁じられているからこそ、踏み入れたくなる衝動。


アダムとイブは、林檎を食べたかったから食べたのではない、禁じられていたから食べたのだ。


…。


Tシャツは、プリントは良いのだが、質が今ひとつな感じがする。ま、定価の半額以下だから、お遊び程度と割り切っておこう。


ホームデコレーションデザインも、予想以上にペラッペラ…ま、値段相応か。


Tシャツは、今しばらくは良いかな。買い続けたことで、あの熱は冷めた。


これも一種の曝露療法か、或いは、ただの飽き性か、


…などと。