絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む -126ページ目

絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む

~絵本で、安心して気持ちが話せる場づくりの担い手を育む~
NSプロジェクト代表
絵本道®マイスター
更家 なおこ

絵本道文庫~フーシーとまりとお姫ー5~

 

 その時、窓の外で何か物音がした。

これ以上けらい達はどんな邪魔をするのだろう。フーシーが

おそるおそる窓に近寄ると、灰色の大きなマントをかぶった

男の人が一人で立っていた。マントの影で顔はほとんど

見えなかったが、袖から少しだけ出ている補足長い指を

フーシーはどこかで見たような気がした。

 

「あわれな物売りでございます。どうかこれを。」

物売りが持っていたかごから取り出したのは、目が覚める程

色鮮やかな色のまりだった。

「おじさん、それ。」

1つ、また1つ。まりはちょうど8つあった。フーシーの泣きはらした

顔が喜びに輝いた。

 

「ありがとう、おじさん。それ、全部ちょうだい。」

「もちろんですとも、ところでおじょうさん。そのまりは特別な

まりでして・・・。」

「あとでね、時間がないの。行くわよ、キジネコ。」

 

 昼を告げる教会の鐘が鳴りだした。今から走れば間に合う。

フーシーは、まだ何か叫んでいる物売りを残して走りだした。

広場へ向かいながら、ふと考えた。そういえば、人嫌いな

キジネコがあの物売りの足元にすり寄っていた。

あのおじさんは、一体・・・誰なのだろうかと思う間もなく

フーシーは大勢の人に取り囲まれてしまった。

 

「来たぞ、来たぞ。フーシーが来たぞう。」

「勝負だ、勝負が見れるぞ。」

「お姫様とフーシーのまりくらべだぞお。」

 

広場は人でごったがえしていた。

舞台中央で、姫が待っていた。

「おじけづいて、もう来ないのかと思ったわ。」

姫をにらみつけながら、フーシーは言った。

「あたしは、勝負がこわくてまりを盗みに来るほど弱虫

じゃないわ。」

姫の顔色がさっと変わった。

「私はひきょうな事が大嫌いよ。それは私ではない。

さあ、先にいくわよ。」

                               つづく

 

 

第一話はこちら

絵本道文庫~フーシーとまりとおひめさまー1~ | 絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む (ameblo.jp)

 

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第三話はこちら

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