絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む -103ページ目

絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む

~絵本で、安心して気持ちが話せる場づくりの担い手を育む~
NSプロジェクト代表
絵本道®マイスター
更家 なおこ

南相馬の仮設集会所に

繰り返しおうかがいするうちに

おばあちゃんたちが集まって

針仕事をしているのを何度もみかけました

 

聞けば、ボランティアで訪ねてくれた方に向けて

お礼の針刺しをこしらえているのだそうです

楽しそうにおしゃべりしながら

手を動かしている姿に

石巻の畠山さんの言葉を思い出しました

 

「おれたちが失ったのは、物じゃねえ。日常なんだ」

 

震災からの日々、常に誰かにいただいた

ものを着て、食べて、寝て・・・

してもらうばかりの繰り返しは もしかすると

とても苦しい日々かもしれません

遠方から訪ねてくれる人のために

せめてお礼がしたい

そのために、みんなでできることをしよう

 

針仕事をしている

おばあちゃんたちが 生き生きとして見えるのは

「誰かのために」

なにかに取り組んでいる時間だからかも

しれません

 

その後、私は「天使プロジェクト」という

企画を立ち上げました

 

全国から手作り天使を送っていただき

おばあちゃんたちにも天使を作ってもらい

天使の交換ができたら素敵だな・・・

 

天使キットが開発されて

おばあちゃんたちにも集まっていただき

みんなで天使づくりがはじまりました

一番はじめにみなさんにご案内したとき

いつも以上にテンションが高いことに

少し驚きました

 

みなさんが ずっと声高らかに笑いっぱなしなのです

何を言っても、ささいなことでも、なんでも大声で

笑うものだから

少し戸惑ってしまいました

 

帰り道 一緒に手伝ってくれた南相馬の里美さんが

訳を教えてくれました

 

あの中におひとり 震災のショックで

針仕事が難しくなった方がいらっしゃったそうです

 

それが、どうしたことか今日はとても自然に

針をもって天使を縫っていたのだとか

 

おばあちゃんたちは、びっくりしたけれど

その方が意識しすぎたり

緊張したりしないように

わざとほかのことに気を取られているふりをして

大げさに笑っていたそうです

 

なんと やさしくて あたたかいのだろう

みなさんの思いの深さと

愛おしさて 里美さんと二人 

しみじみと泣きました

 

自分だけのためなら 動き出せなくても

誰かのためなら 向き合える

 

この活動は とても とても 小さいけれど

そうやって 動き出せた人がいる

それを感じ取ることで また別の人が

なにかの力を受け取る・・・

 

 

もちろん その中に私自身も含まれています