百合子を連れてきてくれとクルミに頼んだ百瀬さんに、クルミは娘なのかと問う雅喜。
百瀬さん曰く、娘ではなく彼女が高校生の時に鍼灸院の前で倒れていたのを発見し治療してあげていたのだという。
雅喜:こんばんは
クルミに支えながら治療室へと歩いてきた百合子。
百瀬さんは公園で死んだ鳩や様々な動物だけではなく、人間にも治療を試したらしくその中の一人がクルミなのだと雅喜に伝える。
雅喜:クルミ…?
クルミ:クルミ。
雅喜:怖くなかったの?
クルミ:別に
最終段階は病院の霊安室。忍び込んだ百瀬さんは亡くなった人の思いつく限りのツボを、そしてついにそのツボを発見したのだという。
雅喜はそんな百瀬さんに、亡くなった人を生き返らせるなんてノーベル賞くらいの手玉があるのにどうして発表しないのかと問う。
百瀬:この間は説明不足だった・・・妻は生き返ったわけではない。ただ身体機能は補助があれば機能しているというだけで・・
雅喜:え?
百瀬:感情がない。当然だ・・魂が抜け落ちているんだからね
雅喜:そんな・・あなたは奇跡を信じるかって・・
クルミ:息してるだけでも奇跡だろ
雅喜:だけど・・そんなのは・・
百瀬:厳密に言えば、妻は荼毘に付さずにそばに置いておくのは犯罪なんだ。死体遺棄罪にあたる
雅喜:なら、どうして俺に話したんです?
百瀬:その若さで、君の肩や首の張りは異常だ。慢性的な偏頭痛・・いや、それよりももっと・・君自身が恐怖に向いた意識で頭の中を意識しているからだろう
雅喜:・・・・・・・
雅喜:・・・腫瘍が・・・あるんです・・・
雅喜:へばりつくように・・多くの中枢神経を覆っていて・・
百瀬:・・・手術は・・不可能なんだね・・?
雅喜:・・ええ、
百瀬:・・気の毒に・・・
雅喜:そうか・・そりゃそうだよなぁ・・・そんな上手い話あるわけない。神様じゃあるまいし、死んだ人を生き返らせるなんて・・
百瀬:変に希望を持たせて申し訳ない・・
雅喜:いいんです。正直言うと、そんなことじゃないかと思ってました・・ただ、それでも俺は・・・・
百瀬:・・妻のように、存在していたい・・?
雅喜:・・・・・情けないけど・・・怖いんです・・・
雅喜:・・・すぐに誰からも忘れ去られていくことが・・
百瀬:恋人がいるね?病院と街で会った、あの彼女だね?
雅喜:・・ええ
百瀬:彼女には・・君の病気のことは・・?
雅喜:・・・言ってません
百瀬:君は死んだ後・・感情のない姿になっても、彼女と一緒にいたいと思うんだね?
雅喜:・・・・・
クルミ:・・ははっ、・・シニカレ。
百瀬:気持ちはわからなくもないが、それはとても自分本位で傲慢な考えだね
雅喜:わかってます
百瀬:第一、彼女が受け入れると思うかね?
雅喜:余命告知を受けてから・・自分は絶望の中、一方でどこかで・・そうした愛情の深い女性を探していたのかもしれません・・
百瀬:彼女が、そうだと?
雅喜:そんな気は・・
クルミ:あんたバカじゃね?
百瀬:よさないか
雅喜:いや、いいんです。確かに、俺の勝手な思い込みで・・
百瀬:何にでも縋りたい。わかるが・・さすがにそれは無謀な思い込みだね
雅喜:・・はい
百瀬:確かに、人よりも一見愛情の濃いタイプの人間もいる。しかしそれも悪く言えば・・自分も濃く愛されたいという人間の照り返しのようなものだ。嫉妬深い、恋愛至上主義だ。若い女性には、そんなにめずらしいケースではない
クルミ:あたしは違う。くっだらねぇ
百瀬:君が死ねば泣くだろう。激しく泣くだろう。もう恋なんかしない、ずっとこの人を思い続けるとさえ・・
雅喜:ええ・・
百瀬:だが、いずれはその痛みも薄れる。若ければ尚更だ。下手をすれば・・半年で立ち直る。忘れるためにもまた新しい恋をしようと、都合良くある瞬間から前向きにもなる
百瀬:私はこの歳だ。相手は長年連れ添った妻でもある。次の伴侶など考えようのない。寂しい気持ちを埋めるためにこうした姿でもそばにいてほしいと望んだ
百瀬:君の彼女は、付き合ってどれぐらいになる?・・相手の何を知ってる?彼女は・・君の何を知ってる?
真っ直ぐにそう言われ、何も答えられない雅喜。
確かに愛し合ってるふたり。だけど付き合ってそう長くもなく、お互い何を知ってるわけでもないのだ。
雅喜:・・・・・おかえり
ルリ子:ふふっ・・ただいま
帰宅したルリ子を待ち伏せていた雅喜。
優しい眼差しで彼女を迎え入れたその半面では、何を思っていたんでしょう。
ルリ子:きゅうきゅうで入るのって楽しいねっ
雅喜:あぁ。
ルリ子:でも、先に寝ててくれても良かったのに
シニカレの中でもとっても印象的なこの入浴シーン。
カラフルなバルーンやふわふわ浮かぶシャボン玉がなんとも可愛い空間の中、狭いバスタブの中に二人で入って台詞を掛け合うシーンがすごく印象に残る。
雅喜:待ってるわけじゃないんだ。ここのところずーっと不眠気味で・・なんだかんだ朝まで起きちゃってる
ルリ子:仕事ボケボケにならない?
雅喜:定時出勤って、仕事じゃないし
ルリ子:ねぇ・・あたしが死んだらどうする?例えば事故とかで!
雅喜:・・・なんだよ急に・・どうするって?
「死」について話していた矢先、ルリ子が唐突にそのことについて質問したのにはドキッとした。
ルリ子:泣く?
雅喜:そりゃぁ
ルリ子:いっぱい泣く?
雅喜:涙の量で悲しみは測れないだろ?
ルリ子:そりゃぁそうだけど・・で、その後は?
雅喜:その後って・・?
ルリ子:ずーっと・・思っていてくれる?
雅喜:ずーっとって?
ルリ子:ずーっと。ず~~~っと!
雅喜:・・どうしてそんな事聞くの?
ルリ子:どうしてって、いつもの妄想ちゃんだけど
雅喜が病気だということを知ってるわけでもない。もちろんそんなこと知ってるはずもない。
だけどこんな質問、ほんとに唐突すぎて雅喜も少しばかり驚いている様子。
雅喜:・・無理じゃないかなぁ
ルリ子:え・・?
雅喜:俺、だって若いし。なんだかんだ、立ち直ると思う
ルリ子:・・・でも・・次の恋愛とかは、
雅喜:するだろうね。なんて言うか・・忘れるために
雅喜って意外と単純なんじゃないかと思った。
三枝さんに言われたこともそうだけど、あのとき百瀬さんに言われたことだって鵜呑みにしてる。
自分では気付けないけど、人に言われて気づくこともたくさんある。でも、百瀬さんに言われたことにはまだ気づけてないんだろうね。
彼女がどれだけ雅喜のことを愛しているか、雅喜がどれだけルリ子のことを愛しているか、お互いがお互いをどれだけ愛しているか。それがわかるのはもう少し先のことだから。
ルリ子:うぅ~、もぉ~!寂しい事言うなぁ!
雅喜:ははっ。そうかなぁ・・
ルリ子:いつもの雅喜なら、嘘でも合わせてくれるのに
雅喜:逆に質問。ルリ子だったら?
ルリ子:ふふっ、聞くだけ野暮でしょ。あたしだったらぁ~
雅喜:一緒だよ俺と。まぁ少女漫画の思い込みの世界ならあり得るのかな?
ルリ子:・・何かあったの・・?ほんと、いつもと違う感じ・・
一緒さ。だって・・時間って、そういうもんだろ?
ルリ子:・・時間・・?
雅喜:あぁ。
雅喜:時間は人に優しいのさ・・・・残酷なまでに。
止まることなく進んでいくだけの時間を、雅喜は「優しい」と言った。「厳しい」じゃなくて、「優しい」のだと。
でもそれは彼にとっては残酷で悲しいことなんだろうな。
雅喜が怯えていたもの、それは「死。」
この若さで病気を抱えながらも、それでも生きてる。
誰にも言わずに。彼女にさえ言わずに。
いや、愛する彼女にだからこそ言えないんだよね。
治らない病気と向き合いながら生きることって、到底想像もできない。
悲しみは共有できたとしても、それに対する恐怖や孤独感なんてその人自身にしかわからないのだから。
話の後半の入浴シーン、震えた。
ドル誌で泡風呂入ってることはあってもドラマでシャワシーンや入浴シーンがあったとしても、こうやって動いてる姿で見れる泡風呂シーンなんかそう見れませんから。
カラフルでメルヘンな感じはルリ子っぽさが出ててイイですよね。
しかも大好きな藤ヶ谷さんのオールバック。
しかもしかも最後のカットで藤ヶ谷さんの膝が見えてるというなんて素敵なショットでしょうか。
これルリ子が雅喜の間に入り込んでるということは雅喜は股おっぴろげてるということで。あゝルリちゃんそこ代わってください状態ですわ。
17話へ続く。(今回のキスブサくそ興奮した)
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