この数日、有名人のショックなニュースに

ひそかに落ち込んでいます。



別に知り合いでもなんでもないんだけど

古着系が好きなわたしは彼らの世界観が

かわいくていいなとずっと思っていて、

ふたりが年を重ねても自分の好きを大事に

自分らしくアップデートしていく姿も

すごく素敵だな〜と思ってて、



そしていち子持ち既婚者として

学ばされるところも多くて、

彼らの新しい家族のかたちをひそかに

応援していたからこそショックでした。。



残された家族の言葉も泣けました。

感情に呑まれず、むしろ極力抑えて、

相手への愛と感謝と世間への配慮が

込められていて・・立派すぎて泣けました。

しばらくは誰か甘えられる人の

そばにいてほしいです。



今回ご紹介するのは

2週間くらい前に読んだもので

感想文ブログをあげられていなかったのですが

ショックなニュースをきっかけに

この物語が改めて思い出されて



ブログタイトルにもしたとおり

誰かに「かわいそう」なんて言うもんじゃない

安易に使わないように気をつけよう

ということを改めて強く思いました。



この物語の舞台は

郊外の住宅地「うつくしが丘」に

建てられた一軒のおうち。



とある夫婦が中古の一軒家を改装して美容室を

オープンさせるところから物語は始まります。



美容師の美保里は

念願の美容室オープンに

胸を躍らせていたものの、

義父や近所の住民からの言葉に

心がくじけそうになります。



夫の譲も美容師で、ふたりは

夫の実家の理容室を継ぐ予定で

そこで働いていたのですが、

さまざまな成り行きで義父の店は

弟が継ぐことになり、ふたりは

実家を追い出されるような形で

独立をすることになり、

うつくしが丘へ越してきたのでした。



場所は違えどふたりのお店を持つ

夢を叶えられることにわくわくしていた

美保里でしたが、近所の住民から

ここが「不幸の家」って呼ばれているのを知っていて買われたの?

と言われ、この家に住んでいた人々が

数々の不幸に見舞われ、家を出ることに

なったことを知らされるのです。



それまでの苦難の積み重ねもあり、

美保里は自分のなかで抑えていた

暗い気持ちが一気に溢れてしまいます・・。



ですが、そんな美保里に

温かい手を差し伸べる人もいて、

このおうちをずっと見てきた

隣人のおばあちゃんは美保里を励まし、

「不幸の家」に対して

全く違う見方をしていることを語るのです・・。



この物語は5章立ての連作短編集で

章が進むごとに

美保里の代からさかのぼって

それまで住んでいた人々の半生が

綴られていきます。



このおうちは、ある時は

反抗期の息子、息子に甘く娘に厳しい父、

夫の不貞を知り愕然とする妻が住む

「ままごとの家」になり



ある時は男に騙された女性と

元夫のDVから逃げてきたシングルマザーと

連れ子が住む「さなぎの家」になり



ある時は妊活がうまくいかずに

すれ違う夫婦が住む

「夢喰いの家」になり



ある時は「しあわせの家」を求めて

訳ありの男と聡明な連れ子と共に暮らす

女性がいるおうちになったりしていました。



たしかに彼らの生活は順風満帆とは言えず

苦難の道のりが多いものに映ります。



けれど彼らは苦難の壁にくじけて

この家を去ったわけではなく

苦難に向き合い、

彼らなりに前に進んだ結果

家を手放していく姿が描かれていくのです。



この物語を読んで感じたのは

「不幸」とか「かわいそう」という言葉の

身勝手さ、無責任さです。



ふと思ったんですが、これらの言葉って

自分に使うことってほとんどないのでは

ないでしょうか?



自分ってかわいそう、

自分って不幸と言うよりも

「この物語は不遇な環境に置かれた

不幸でかわいそうな少年のお話で・・」

といった感じでしか

使わなくないですか?



この言葉、よくよく考えたら

本人に面と向かって言えないような

失礼な言葉ですし、



「不幸」かどうかは

当事者にしかわからないのに

なんで決めつけられるの?

とこの物語を読んで強く思いました。

(美保里に向かって不幸の家と言い放った

近所の人の無責任さよ。。)



彼らにどんな不幸があったのだろう・・と

想像してしまうのは止められないにしても

それを「かわいそう」だと言葉にするのは

とても暴力的なことなのだと改めて思いました。



かわいそう、不幸だ、という言葉を

これからの人生で使うことはあまりないと

思いたいのですが、これらのような

暴力的な言葉があるということに

自覚的であろうと強く思いました。



我が子にも言葉の危うさを

しっかり教えていきたいです。



この物語を読んだきっかけは

最近家族小説が読みたい気分で

探してたなかに本書があって

「不幸」というワードに興味を引かれて

手に取りました。



町田そのこさんの小説は

他にも読んでいて

間違いなく自分に刺さる作品だろうと

思っていたので

なぜ「不幸」というワードを使ったの?

と気になったのです。



はたから見て幸せそうでも

実は見えないところで苦悩を

抱えているかもしれないし



不幸せそうに見えても

それを面と向かって言うもんじゃないし

前向きに試練を乗り越えている途中で

頑張っている最中なのかもしれない。



垣間見えた部分だけでものごとを

決めつけてはいけないという

当たり前のことを思い出させてくれ、

そして自分自身を顧みさせてくれた

とても素敵な一冊でした。



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