更新がしばらく空きました!



遅めの夏休みを過ごしたり

子が熱を出したり

家族に時間を捧げていたのが

理由のひとつですが





この超大作にとりかかっていたのが

更新が空いたいちばんの理由でした!



トルストイ『戦争と平和』

新潮文庫版で全四巻!!

一巻で600ページ以上の大ボリューム。

全巻読み通すのにどのくらいかかるのやら・・



この作品は

ウクライナ情勢があやしくなった頃から

気になっていたのですが

書店で品薄になっていて全巻揃わず

(考えることはみな同じなのですね)

とりあえず一巻だけ読むことにしました。



この作品を読書会の課題図書にしていましたが

あまりのボリュームに日程が延期に(^^;)

読書会主催としての責任感で

なんとか読み終えましたが

そうでなかったら挫折してたかも。



そんな超大作『戦争と平和』の

物語世界が頭から抜け落ちる前に

ざっくりと感想文を書きたいと思います。



一巻のあらすじは

1805年、ナポレオン戦争が始まる頃

きらびやかな社交界と泥臭い戦場で

舞台が入れ替わりながら

ロシアの貴族たちの心情が描き込まれています。



登場人物は

なんと559人もいるそうですが(笑)

一巻の中心人物は

ピエールとアンドレイとニコライという

3人の男性です。



ピエールは莫大な財産を持つ

ベズウーホフ伯爵の子息。



ピエールは婚外子なのですが

伯爵はピエールを溺愛し、伯爵の死後

財産は全てピエールに相続されることがわかり

周囲のピエールを見る目が変わってゆくことに

ピエールは戸惑います・・。



2人目のアンドレイはピエールの友達であり

ボルコンスキイ公爵家の長男。

妊娠中の妻・リーザを田舎にあずけ

出征する準備をしています。



アンドレイは頭の切れる人物で

社交界でもそつなく振る舞いますが

実はきらびやかな社交界や

リーザとの結婚生活に辟易していて、

この生活から離れ、戦争で勇猛果敢に

活躍する姿をひとり夢想するのです・・。



3人目のニコライは

ロストフ伯爵家の長男。

年齢は明かされていませんが

ピエール、アンドレイよりは年下で、

青年士官として前線に立ちます。



愛国心があり志願して従軍したものの

いざ戦闘が開始すると

「死」があまりにも間近にあることを実感し

縮み上がってしまいます・・。



一巻は彼ら3人の視点が入れ替わりながら

ベズウーホフ伯爵の財産をめぐり

ひそかに行き交う貴族たちの思惑や



莫大な財産を相続したことで

自由が奪われていくピエールの戸惑い、



きらびやかな社交界での権力闘争を

遠く懐かしく感じながら

戦場で解放感に浸るアンドレイと

死の恐怖におびえるニコライの姿が

描き尽くされています。



一巻だけでは

今後どのように物語が進むのか

まったく予想できませんが、

一巻はきらびやかな社交界と

泥臭い戦場の落差が

際立っていたように感じました。



「戦争と平和」というタイトルのとおり

まったく対極にある世界が

交互に描かれているのですが



ニコライは戦闘に震え

きらびやかな世界を恋しく思っている一方、

アンドレイはすごくイキイキとしていて

その対照的な姿が印象に残りました。



子持ち既婚者として

妊娠中の妻を田舎に残して戦争に行った

アンドレイは許せない存在なんですけど笑、

きっとものすごく外面が良くて頭も良くて

(外面に負けず外見も良くて)

出世するタイプなんだろうなと

読みながら思いました。



賢すぎてピュアさがなくなって

社交界で打算的にふるまうことしか

できなくなってしまった

残念な男なのかも・・とも想像しました。



妊娠中に置いてけぼりにされ

田舎の義実家に預けられる

リーザが気の毒でなりませんが

(しかもアンドレイの父は気難しい頑固ジジイ)



子が産まれたらたくましく図太く

なるのではないか…と期待します。

(一巻ではまだ子は産まれず)



アンドレイが打算的すぎるので

ニコライはピュアで

かわいらしく感じました。



愛する家族が恋しいけれど

愛する国を守るために

自ら戦場へ向かった青年が

これからどのように変わっていくのか

はたまた変わらないのか

今後の展開が楽しみです。



(打算的な思いも、ピュアな思いも

戦争につながってしまうのは

とても残念ですが)



一巻全体を通して強く思ったのは

立場、利益、思想含めて

自分のことをよく考えている人ほど

社交界や戦場で打算的に立ち回り

自分のことをそれほどまだ知らず、

見つめ直している人ほど

周りの動きに翻弄されている

ということでした。



3人で言うとアンドレイが前者で

ピエール、ニコライが後者。



どっちが良いということではないのですが、

ピエールとニコライは

自分のことを深く考えなくとも

豊かに生きていける恵まれた環境があったから

ピュアさが際立つのかもしれないと思いました。



アンドレイは貴族の暮らしが嫌だったから

「自分はどう生きたいか」

真剣に考えて行動したわけで、



嫌な環境にいるからこそ

思考が深まるのであれば、

恵まれた環境はその人の思考を奪い、

育たなくなる危うさがあることを思うと、

「本当に恵まれた環境」とは

どういうものなのかを

悶々と考えさせられました・・。



貴族の世界が染みついているアンドレイが

戦場でイキイキとするのは

あまりにも悲しすぎるし皮肉すぎるけれど。。



今後、恵まれた環境にいた貴族たちが

戦争によってどう振り回されていくのか

どんな風に気持ちが揺さぶれていくのか

二巻目以降が楽しみです。



▼楽天はこちら


▼Amazonはこちら



★読書ブログ開設8年目にして

自己紹介ブログをやっと書きました!

ささかわはどんな人間なのか

どんな思いでブログを書いているのか

もし興味があればご覧ください(^◇^)

 

 

★選書サービス受付中です!

文庫本一冊から

あなたにぴったりな本をおすすめします😊

詳細はこちら

(下の画像からも飛べます!)