中村千尋さんの新宿BLAZEワンマン。

昨年同様、たらりらんの復活も事前告知されていて、まあこちらのほうがたのしみだったりするんだけど、そんなふうに書いてることが仮に中村千尋さんの目にふれたとしても、たぶん失礼だとかがっかりだとかそういう表情を浮かべることはないだろう。客に対してつまらないプライドをふりかざす場面は彼女に限って、まずない。内心はわかりませんがね。それはどこから来るんだろうと言えば、やっぱり商売として歌い手としてやってゆくんだという強いプロ意識のなせるわざだと思う。

遠征組への配慮としての17:30開演なんでしょうね。歌舞伎町だから、明るいうちに入場して欲しいってことかもね。

僕は開演時間に間に合わず、二十分遅れの17:50に入り、PAさんたちの裏に陣取る(壁にもたれる)形に。クラウドファンディングで集金して作ったとされるセンターステージ(回転する!)と花道があり、それを囲んで椅子が並んでいました。立ち見は三十名くらいかな?オールスタンディングにしたら昨年の渋谷クアトロ並に偏り起因の空きができてたと思うから、結果としてこれで大正解。

僕が入ったときはメンバー紹介がまさに終わろうとしているとき。で、「ごはんとケーキ」をはじめる前に「せっかく椅子があるんだから、すわって!」ちゃんとみんなをしたがわせるあたり、堂に入って来たねえ。

「ひごさつま」のステージから商売という語が何度か出てくるように。活動継続するうえで商売として成り立たせることは大切だし、商売として考えることで見えてくる客との距離のとり方もあると思うからね。しっかり商売を極めて行ってもらいたい。ただ、この「ひごさつま」、歓迎するつもりは毛頭ありません。貴重な時間を費やすのならもっと披露してもらいたいオリジナル曲がいくつもある。でもこれはもはやオールドファンのわがままなのかもしれませんがね。

そして待望のたらりらんの復活ステージ、一年ぶり。「変な子」を流しながらメンバー登場。みのりんはRucaさんサポートなどでたびたびみているわけたけど、やっぱりたらりらんで出るときのほうがはるかに若々しい。あかねさん、よしえさんは、見るたびにおきれいになる。そして彼女らに囲まれた中村千尋さんは、商売っ気の足りなかった当時の顔に戻る笑

今年は「金曜日の午後」そして「放課後チャイム」。去年は「バイバイ」と微妙なアンコールでの「変な子」だったんだけど、「放課後チャイム」のリクエストが多かったそうで。中村千尋楽曲では、いまだスケール感においてピカイチだからね。この四人編成の「放課後チャイム」は初見の2012年9月以来かな。よしえさんのアレンジが進化していました。そして何より、みのりん+あかねさんが、バンドらしいんだわ。サポートミュージシャンが集まって演る商売としての演奏とは違うんだわ。中村千尋さん自身はソロになってからも稀に「放課後チャイム」を披露してるんだけど、たらりらんで聴くのはやっぱり違うんだわ。

本来の今夜の中村千尋さんソロについての感想は、まああれだけのお客さんが、たぶんまた来てくれるだけの内容だったと思います。納得しています。

ただ、たらりらんでやった二曲のほか、カバーでやった「ハイブリッドレインボー」「M」もオリジナルがバンド楽曲でしょう?これらのバンド楽曲たちがよく似合うんです。他にも、本編最後で披露した「たいむかぷせる」→歌詞改変してからライブで聴くのははじめてだけどまあ大事なものは損なわれておらず安心した→が今夜いちばんの出来で、これもたらりらん時代からやってるから。「ねえ先生」も「カレーライスのうた」も、そう。

結局何が言いたいかというと、ソロシンガーとしての中村千尋さんの楽曲はいまだ、上品すぎるか可愛らしすぎるか真面目すぎるかおちゃめすぎるかで、バンドのgt&voだった中村千尋さんのスケール感を殺したままだということ。

しかし、そういうソロシンガー中村千尋楽曲たちが、これだけのお客さんを集めて来たのも事実だし、「たいむかぷせる」の歌唱をも進化させたのだろうから、是とするしかない。

でもそろそろ猫をかぶってばかりはよそうや。いくつになっても「千尋ちゃん可愛い」と言ってもらえる素地はじゅうぶん築いたでしょ。また「おかえりなさい」や「おやすみ三秒」みたいに、やたらスケール感が先行するような、ナマイキで真摯な?中村千尋ならではの楽曲をやる姿も、みせておくれ。

実は僕も「まにあっくちひらー」(有料ファンクラブ)にお布施してます。でも基本的に他のお客さんと交わる気はないからね、オーバーエイジ枠笑だしね。和気あいあいとした終演後の空気をちょっとだけ吸いながら、会場をあとにしました。

三年かけての渋谷WWW→渋谷クアトロ→新宿BRAZE、ホップ、ステップ、ジャンプ成功おめでとう。

また次も、見に行きます。

中村千尋さん、たらりらんのみんな、ありがとう。