南アジアのハブとして急速な経済成長を達成したシンガポールでは、大学生の就職を徹底的にサポートする体制を確立しようとしている。
国を挙げて就職支援をしているシンガポール。なんと大学1年生から職業適正テストやカウンセリングを行っている(シンガポール国立大学キャリアセンターのサイト)
シンガポールでは教育省が学生の就業支援の一環でインターンを推奨しており、国内大学のほとんどでインターン・プログラムを導入している。
13年のQS世界大学ランキングで東京大学を抜いてアジア1位となったシンガポール国立大学(NUS)では、エンジニアリングとコンピュータ学部に所属する1800人の学生に対してインターンを必修にしている。
また、全学生を対象に今年度から、就職支援強化の一環で1年次からのキャリア相談や適正テストなどを開始する予定だ。これまでの就職支援は3年と4年次に行うのがほとんどだったが、1年次から職業適性テストやカウンセリングなどを行うことで学生が就職活動をスムーズに行える環境を整える。
日本企業でも、シンガポールの学生を獲得したいという意欲は高い。シンガポール人の多くは英語、中国語、マレーシア語の3カ国語を話すことができる。言語的な優位性に加え、多民族国家ならではの国際感覚が身についていることが人材価値を高めている。また先ほど紹介したように、学生時代のインターンを通じて実務を経験していることも魅力となっているようだ。
シンガポールに拠点を置くある日系企業の経営者は、「シンガポールには優秀な人材が多い。われわれが1日かかってしまう作業を数時間でこなす能力を持っている。このような優秀人材を維持するためには、高い給与を支払ってもかまわない」と話す。
また、ある日本の大手企業人事担当者は「優秀なシンガポール人学生が日本で就職してくれるとうれしい。英語と中国を話せる人材はほとんどいないため需要は高い」と語った。
アジアの優秀な学生に、日本人学生が就職競争で競り勝つために必要なことは何だろうか。グローバル展開を想定している企業に就職したいと思うのであれば、語学力や国際感覚を磨くことが重要なのは間違いないだろう。しかし、それだけでは差別化できない。
日本人が長く培ってきた「勤勉性」や「調和を大事にする精神」など、日本人らしさを求める企業が存在するのも事実だ。たとえば、名実ともグローバル企業となったアップル社。その創設者である故スティーブ・ジョブス氏は、かねてから「禅」など日本的な考えに興味を持っていたと伝えられている。
語学、国際感覚、実務経験に加え、「日本的な価値」を再確認し、実践することがアジアの就職競争で勝ち抜くカギとなるかもしれない。
今後は世界に向けて何かを発信することがどの企業も多くなってくるので、語学力はあった方がいいようですね。
また、外国人にはない日本人特有の長所や、自分の個性をプラスしてアピールすることが出来れば、採用が決まると思います。